27話 弟子を創って、育てよう!
27話 弟子を創って、育てよう!
「えっと……まずは、素体をセットして……外装を選択……コアオーラを選別してから……俺のオーラを添えて……さらに、ラスピリットロンと、レビュール粒子を、合わせて、あとは、ゆっくり、丁寧にコネコネと混ぜる……と」
説明書に書かれている通りに、
センは、『弟子』を作成していく。
「つよくなーれ、かしこくなーれ……せめて、俺よりマシになーれ」
願望をこめながら、コネコネと、コアオーラを作成していく。
この作業だけで10年以上かかったが、
今のセンからすれば、10年など端数……
「……長ぇなぁ……『弟子を創る』ってだけで、こんなに時間がかかるのかよ……しんどすぎるだろ……」
……端数なワケがない。
『10年』は『10年』である。
それも、肉体年齢3歳の10年。
ジャネーの法則を基準にすれば、3歳児が体感する1年間は、『20歳の青年が感じる6年分』・『30歳のオッサンが感じる10年分』に相当する。
ゆっくり、ゆっくりと流れていく時間の中で、
センは、一日・一日を、丁寧に積み上げていく。
その結果、
「……よし……できた……」
完成した弟子。
センは、彼に、
「お前の名前は……ジャミだ。ジャミ・ラストローズ・B・アトラー」
10年間、考えに考え抜いた名前をつけたセン。
この名前に意味はない。
純粋に、語感を重視した。
頭の中に浮かんだ、リズムのいい言葉を並べただけ。
だが、それでいい。
それがいい。
「……いやぁ、本当に生きているみたいだ……いや、まあ、生きているっちゃ、生きているんだが……」
はたから見ている分には、
人間とほとんど変わらない。
実際、ジャミには、人体を構成している要素の全てが詰め込まれている。
呼吸もしているし、食事をとってエネルギーに変換し、排泄することも可能。
『女性のお腹の中から産まれていない』というだけで、
彼を構成している全ては『人』と同じ。
「……」
ジャミは黙ったまま、ジっと、センを見つめている。
その光景を見て、センは、
「説明書に書いてある通り……ナイトメアソウルゲートにいる間は、しゃべれないし、意志を示すこともない……か」
ナイトメアソウルゲートの外に出れば、
ジャミは、『人格』をもって、人間として行動することが可能。
ただ、ナイトメアソウルゲートにいる間は、『動く人形』として存在するのみ。
「できれば、意志をもってもらって、話し相手とかになってもらいたかったが、まあ、でも、そうなると、100億年という時間地獄に、フルで付き合わせることになるからな……それは、さすがに問題がありすぎる。つぅか、たぶん、俺以外は、耐えられなくて、途中で普通に灰になる……逆に、なんで、俺は耐えられているんだって話だ。俺、おかしいよな、ほんと。気持ち悪いぜ」
などと、流暢な独り言に興じてから、
センは、ジャミに、
「それでは、これより、お前の育成を開始する。弟子を育成することで、俺の力も磨かれる。お互いを高め合う作業の始まり。お前を育成する上での、俺の最終目標は、俺を超えたお前を育てあげること。もし、それを成すことが出来たなら、今度は、お前が俺を鍛えてくれや」
そう言ってから、
「それでは、はじめようか。拳の握り方から教えてやるぜ」
センは、弟子の育成を開始した。




