54話 考えることが多すぎる。
54話 考えることが多すぎる。
――その日の夜、センは、また、十席たちに襲い掛かった。
お互い、覚醒しあうまでは同じ流れ。
最初にセンが、十席をボコボコにして、
十席が神化して、
ハスターがオメガバスティオン化する。
将棋の角交換みたいに、既定の流れを、そのままなぞってからが本番。
十席の面々は、自分達が過剰に大きなパワーを得たことを不思議がっているが、すぐに、自分自身と折り合いをつけて、センエースを止めるために全力をつくす。
そんな十席たちに、センは、全力で挑む。
GPで獲得した新たな力を確かめつつ、
お互いに、しっかりと殺し合っていく。
丁寧にじっくりと武を交わし合うことで、センは、十席の力を明確に理解しはじめる。
もともと、ある程度、『各々がどういう闘い方』をするかなどは知っていたが、
こうして、実際に殺し合ったことで、
具体的な強みや弱点が見えてきた。
センは、その辺を見定めた上で、
(ヒッキは、やはりサポート特化に振った方がいいな……大量の補助特技を山ほど詰め込んでも、こいつなら、問題なく、有効的にさばくことができるだろう。……アンドレとグレイは耐性面を強化しないと、ちょっとキツいな……弱くはないんだが、いろいろと、脆すぎる。この耐性値だと、上位帯の闘いではついてこられない……)
一人一人、どう育てていくかを考えつつ、
じっくりと、削っていくセン。
(潜在能力でいうと、やっぱり、ミネディとエバとクウリュートとカーミライムが、ハンパねぇな。こいつらは、もう、しっかりとアタッカーで育てていこう。カンツは今のスタイルのまま、まっすぐに育てていくのでオールオッケー。アクバートとバンプティも、方向性はこのままでいい。前衛に関しては、正直、問題は何もない。問題なのは後衛……いや『問題』はないんだが、育成の方向性に悩むんだよなぁ……むずいんだよ、後衛……)
前衛アタッカーの場合、型がハッキリしているし、そもそも、自分自身がそっち側なので、何も悩むことはない。
ただ、後衛サポーターの場合、型があまりに多すぎて、それぞれの特質にあった育成というのが、本当に難しい。
(ビアラは、マジギレモードをうまいこと使えれば、アタッカー寄りで育成してもいいかなぁ、と思うんだけど……通常モードだと、全体的にハンパなんだよなぁ……いや、もちろん、高性能ではあるんだけど、五角形グラフにした時、尖った部分がない円の感じだから、むずいんよなぁ……毒ビルド特化にでもするか? いや、もう、いっそ、バラモウイルス特化型にして……いやいや、それは、流石に使い勝手が悪すぎるかなぁ……)
頭の中で、そんなことを考えつつ、
口では、
「くそったれがぁああああ! こうなったら、道連れだぁああああ! 田中ぁあああ! 俺は死んでも、お前を殺すぅうううう!!」
そう叫びながら、
センは、カンツの横をぬけて、
田中に、必殺の一撃をかまそうと特攻。
「セェエエエエンッッ!」
止めようと突撃してきたカンツ。
カンツは、頭の中で、多少は悩んでいたようだったが、
しかし、最終的には、
「ぐふっ!!」
センの心臓部を貫いた。




