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51話 デバフなど、カンツの視点じゃ むしろバフ。


 51話 デバフなど、カンツの視点じゃ むしろバフ。


 大半のメンバーは、動きが鈍くなっているが、しかし、カンツだけは、


「どんぐらぁあああああああっっ!」


 血走った目で、歯をむき出しにして、

 なんだったら、デバフを喰らう前よりも俊敏に暴れ散らかしている。


 暴れ方が尋常ではなくなっているカンツに対し、

 センは、


「麻痺と毒と衰弱が入っているはずなのに……なんで、そんなに激しく動けるかね……」


 と呆れてみせる。

 そんなセンに、カンツは、


「がははははははは! デバフなど、根性論の前では、むしろ、心を燃やすブースターになるのだぁ!!」


「いや、ならんだろ。何を言っとるんだ、お前は」


 と、呆れを加速させつつ、

 センは、カンツをボコボコに殴り飛ばしていく。

 しっかりと、ボコボコにしているのだが、

 しかし、カンツは、いっさいひるまず、


「がはははははははは!」


 ピンチになればなるほど、笑い声が大きくなっていく。

 何度でも言うが、カンツは、楽しくて笑っているのではない。


 『こんな時にこそ笑ってみせる覚悟』を示し続けているだけ。

 そんなカンツの、バグった気合いを見て、センは、


(すげぇな……お前は、本当にすごい男だ)


 と、心の中で、まっすぐな称賛をしてから、


「鬱陶しいんだよ、ゴリラバカがぁああああ! なんだかんだで、てめぇも天才だから、腹立つんだよぉお! ルックがゴリラだから、まだ、ギリ許せているが、もし、イケメンだったら、完全に抹殺対象だったからなぁああ!」


 ヘイトを買い占める勢いで、悪意を叫びながら、

 センは、カンツをボコボコにしていく。


 ある程度、互いの『武(根性)』をかわしあってから、


「カンツゥウ!! 俺が殺したいのは、てめぇじゃねぇんだよぉ! どいてろ、邪魔ぁああ!」


 センは、カンツを、全力で吹っ飛ばし、

 その勢いのまま、田中の元へと駆け寄って、


「死ねよ、田中あぁあああ!」


 動けない田中に、渾身の拳を叩き込もうとしたところで、


「――がふっ……」


 ボロボロのカンツが、ほとんど無意識のまま、

 センの背中に、飛びきりの拳を突き刺した。

 常時、火事場の馬鹿力状態のカンツだが、

 さらに、その火事場力を暴走させた結果が今。


 自分の腹を貫いているカンツの拳を見つめながら、

 センは、


「……弱い命をいつくしみ……強大な敵には、覚悟を示す……」


 がはっと、血を吐きつつ、


「それでいい……」


 ぼやける視界の中で、まっすぐに、カンツを称賛して、


「……」


 そのまま、ゆっくりと死に絶えた。




 ★




「はっ……」


 意識を取り戻した時、センは、自室で、ゲームボ〇イ片手に、

 ムーア最終の作成に取り組んでいた。


「……」


 特に意味もなく、部屋の中を、グルっと見渡してから、

 センは、


「ふぅううう……」


 と、深く、長く、息を吐く。


 黙ってボォっとしていると、

 そこで、

 呼んでもいないのに、ヨグナイフが、勝手に、センの目の前に顕現して、


「ボーナスタイムだ。今回獲得した経験値を割り振っていけ」


「……」


「どうした? 目が死んでいるぞ」


「この状況で、目がイキイキとしているやつ、怖くね?」


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