48話 膨れ上がる配下たち。
48話 膨れ上がる配下たち。
「……『目の前におるやつに聞いたらしまい』のことやのに、なんでわざわざ、コスモゾーンハックとかダルいコトせなあかんねん。できるんはできるけど、簡単なことちゃうねんぞ。例えるならあれや。徒歩2分のコンビニにお茶買いに行くだけやのに、足としてジェット機使うようなもんやで」
「てめぇぇえええ! 俺のことをコンビニみたいな、都合のいい便利屋だと思ってんのか! ふざけやがってぇええ!」
「そんなんいうてへん」
心底ダルそうに、さらっと流してから、
「もう、だいたいわかったけど、お前、キレたいだけやろ。ワシ相手やったらカッコつけんでええから、そこに甘えて、日頃のストレスをぶつけとるだけやろ」
「そそそそそ、そんなわけないだろ。どどどどどこにそんな証拠があるって証拠だよ。こここ根拠を言えぇ」
「その横隔膜ビブラートが何よりの証拠やろがい。……勘違いしとるようやから、ここらではっきりいうとくけど、ワシ、お前のオカンちゃうからな。ええかげん、べったり甘えてくるんやめろ」
「舐めんなよ。うちのオカンはアホみたいに気が強いんだ。さっきみたいな態度をとってしまえば最後。コーナーに追い込まれて、死ぬまで殴り殺される」
「……さすが、舞い散る閃光の母親は、格が違った……」
穏やかな時間が流れていく。
今夜、心底辛い死闘が待っているからこそ、
センエースは、今という、痛みのない休息時間をかみしめる。
★
その日の夜、
センは、また、十席たちに襲い掛かった。
GODレベルが爆上がりしている今のセンが相手だと、
『経験値が適用されていない十席連中』に出来ることは何もない。
「ふはははははぁ! クソザコどもぉ! てめぇらじゃ、何も守れねぇ! 田中が殺される様を、指くわえて見ていやがれぇええええ!」
そう叫びながら、十席たちをボコボコにして、
田中を殺そうとしたセン。
そこで、
パァアアア……
と、何かが開く音が、世界に響き渡った。
絶望を前にした彼・彼女らに注がれる数字。
それは、前回、『センエースを殺したこと』によって得た経験値。
つまりは、自分たちで勝ち取った栄光。
――その膨大な数字は、『十席たちが、これまでの人生で必死になって積み上げてきたもの』を、正しく昇華させる。
すでに、可能性は抱えていた。
それに水を上げただけの話。
けっして奇跡ではない。
ただ、正しく階段を駆け上がっただけの話。
――『大きく膨らんだ十席たち』は、
『自分たちが覚醒した』と理解するやいなや、
すぐさま、迎撃態勢をとって、センへの反撃を開始した。
「うおっ!」
神化したことで、どいつもこいつも、存在値がはねあがっている。
神化していないセンは、彼らの前では虫けら。
強大なパワーを誇るカンツに、子猫を持ち上げるぐらいのたやすさで、首根っこを掴まれ、もちあげられる。
「ずいぶんとはしゃいでくれたな! しかし、こうなってしまったら、もう抵抗はできんだろう! 何が起こったか、正直、よくわからんが……ワシらの力が、アウターゴッドの領域に届いたことは事実で間違いない様子……セン、貴様の根性を、叩き直してやろう!」




