34話 お前は誰だ?
34話 お前は誰だ?
「このプランのメリットは、『センエースを経験値として回収した十席』を『センエースの経験値にする』という相乗効果も狙えるという点」
「俺はあいつらを殺す気ないんだが」
「あいつらを殺す必要性は皆無や。なぜなら、『このプランを選択する』なら、ニャルが、『お前のGODレベルを解放してくれるらしい』から」
「……」
ちなみに、ここでのGODレベルに関しては、『ゼン』の力を経由して解放するつもりでいる。
『究極超神センエース』を下地にした上で使っている『ゼンのGODレベル』を下地にした上で『今のセン』にGODレベルを使わせるという、もはや何がなんだかわからない状態。
「GODレベルが解放された状態なら、魂魄を回収せんでも『強大な敵と戦うだけ』で、もりもり経験値を稼ぎ、自身を強化することが可能。あと、倒した十席のコスモゾーンレリックをハスターに食べさせれば、ハスターがどんどん強くなる。その経験値を引き継ぐこともできる。だから、おまえは、ただ殺されてやるんやなく、ある程度、十席をボコボコにした上で、いい感じのところで殺されんといかん。お前も、経験値の取得に関する計算式を多少は知っとるやろ。苦戦すればするほど補正がかかって経験値は増大する。あともう一つ言っておくと、十席のお前に対する憎悪が大きければ大きいほど、補正がかかるから、その辺、よろしく」
「精神的にしんどいだけじゃなく、単純に仕事が多いな」
「……ここらで、余計な言葉を削って、単刀直入に言おうか。ニャルは、お前にこう問いかけている。大切に見守ってきた配下たちに嫌われ、殺され続ける覚悟がお前にあるか? と」
「……」
「決めぇ、センエース。どっちにするか。今日だけは、お前の選択肢を尊んだる」
「田中……一個だけ聞かせろ」
「なんや」
「お前、田中シャインピースじゃねぇだろ。誰だ?」
「……なんでそう思う?」
「世界一お前のことが嫌いな男の……勘」
「……ふ、くく……ははは」
と、少しだけ楽しそうに笑っている田中に、
センは、正式に、
「お前は誰だ?」
そう尋ねると、
田中は、胸を張って、堂々と、
「ワシは、タナカ・イス・トウシ。正統なる銀河の支配者にして、全世界で唯一、オリジナル・センエースの心を折ったことがある、史上究極の天才」
まっすぐに、ハッキリと、そう言い切った。
センは、それを、数秒だけ、黙って受け止めてから、
「……究極の天才とか、よく、自分で言えるな」
と、ストレートな皮肉をぶつけていく。
それに対し、田中も、
「……『運命を調律する神威の桜華』と比べれば、まだ、だいぶ謙虚な名乗りやと思うけど」
と、ストレートな皮肉で返した。
「まあ……そうだな。一理なくもない意見だ」
――その後、ある程度、田中とプランを練ってから、
センエースは、
『十席に500億回殺されるセン作戦』を開始する。
センエースの本当の地獄が始まる。
★
――その夜も、神話生物研究会の面々と田中は、学校を探索していた。
休まないウサギとはよく言ったもので、全員、世界のために、己の体をイジメぬいている。
ここにいる全員、世界の守り手としての覚悟が違った。
とにかく少しでも強くなるために、
ダンジョンやアイテムを探索している。




