33話 田中のプランは単純。
33話 田中のプランは単純。
「選べ、センエース。『十席が死ぬことなんざ、なんの問題もない』というのなら、さっきの話は忘れてくれてええ。ワシがあいつらを殺しとく。けど、お前がもし、十席を殺したくないというのなら、ある程度、全力で協力してやる」
田中のプランは単純。
・『ハスターに乗っ取られたセン』が、シュブを召喚するために田中を狙う。
・そんなセンの愚行を邪魔する十席。
・センは十席に殺されて死ぬ。
「この修羅の道 やる気があるなら、けっこうガチで手助けしたる。ハスターを使い、ワシの命を狙い、十席と戦い、殺されろ。そのあとはそこに書かれとる通り、『死銀の鍵』を使ってタイムリープを繰り返せ」
死銀の鍵は、センエースの死をトリガーとして発動するタイプの特殊な銀の鍵。
今回の試練のためにカスタムされた、世界最高クラスのいやがらせ。
この狂った『スーパーいやがらせイジメ計画』の、まさに文字通り、キーアイテム。
死と絶望と再生の無限ループ。
その果てに待つ希望を求めて。
「お前と十席が『シュブを殺せるぐらい成長する』まで、何度でも何度でも繰り返せ。それが、トゥルーエンドに届くための、たった一つの方法」
本来、タイムリープで経験値を引き継ぐことができるのはタイムリープをしたセンだけ。
だが、『ニャル』はその縛りを殺してくれた。
特殊な条件を飲むのであれば、十席たちの『経験値と戦闘力』も過去に引き継げるようにすると約束してくれた。
「別に十席に頼らんでも、俺がシュブを倒せるぐらい強くなったらいいだけの話だろ。俺は、これまで、ずっと、そうやって、絶望を殺してきた」
「その心意気は素晴らしいと思けど……実際の話、お前はどうやって強くなるつもりなんや? いうとくけど、お前、携帯ドラゴンすらもってへんねんで? 携帯ドラゴンを強化するルートは使えん。人間失格は、なかなかおもろいスペシャルやけど、その効果で何かしても、経験値系は、全部、対価として世界にもっていかれる。ぶっちゃけた話、お前の力だけやと、ウムルにもハスターにも勝てん。ロイガーやツァールぐらいなら、時間をかければ、どうにか倒せるかもしれんけど、あいつらを倒す経験値だけで、シュブを倒そうと思ったら、どのぐらいかかると思う? ニャルがザっと計算してくれたんやけど、およそ、『3200那由多』回ほどループを繰り返す必要があるそうやで」
「……『なゆた』っすか。えぐいっすねぇ」
「――『センエースという膨大な経験値』を『十席に食わせる』というプランなら、さっき言ったように、なんとか、500億回ぐらいでも、どうにかいける可能性があるらしい。このプランのメリットは、『センエースを経験値として回収した十席』を『センエースの経験値にする』という相乗効果も狙えるという点」
「俺はあいつらを殺す気ないんだが」
「あいつらを殺す必要性は皆無や。なぜなら、『このプランを選択する』なら、ニャルが、『お前のGODレベルを解放してくれるらしい』から」




