12話 これは、貴様が始めた第二フェーズだろう。
コミカライズ版センエース、
10話配信記念のイベント開催!
一日10話投稿の2話目!
12話 これは、貴様が始めた第二フェーズだろう。
「蝉原。ここから、貴様に、私の全部を叩き込む。永劫に近い時間をかけて積み重ねてきた全てを、あますことなく注ぎ込ませてもらう。……貴様は強くなるぞ。『この私(ソルの破壊衝動)』がバックアップについたという事実を甘く見ない方がいい。どうせなら、極限までたどり着こうじゃないか。できることなら、『センエースが束になってかかってきても秒で蹴散らせるぐらい』に、果て無く、強く、強く、強く!」
「……」
「さあ、何をしている。止まるな。手を動かせ。この場に顕現している無数の私を殺しつくせ。これは、貴様が始めた第二フェーズだろう」
「……」
「究極超神化3の真髄を叩き込んでやる。ハッキリ言っておくが、覚醒した究極超神化3を本気で運用すれば、第一段階の8程度ならば秒で圧殺できるぞ。こんな風になぁ」
そう言ってから、
ソルは、
「真醒・究極超神化3!!」
膨れ上がる。
『8を使っている蝉原』を『置き去りにした世界』に、『3』で辿りつく。
そのまま、ソルは、蝉原の背後を奪い取り、
彼の背部を右腕で貫く。
神速のバニッシュ。
時限の違う高みを魅せつけていく。
「ぐばほっ!」
大量の血を吐きだす蝉原。
ただでさえ、サイコジョーカーの精神圧迫がえげつないのに、
これだけのダメージを受けてしまったことで、
当然のように失神する。
――が、すぐに、
「がはっ!」
意識を取り戻してしまう。
死ねないし、気絶できない、休めない。
とにかくえげつない無限の地獄。
蝉原の絶望は終わらない。
「私の『真醒・究極超神化3』を体験し、研究し、勉強し、盗み、実践しろ。そこから、ようやく、貴様の物語がはじまる」
「……」
蝉原は、もはや、何も言えなくなっている。
真醒の3とか、8の十七段階とか、そんなもんどうでもいいから、
とにかく殺してほしい。
……と、心底からそう願うのだが、
しかし、ソルは、そんな蝉原の願いをシカトして、
嬉々として、蝉原を壊し続ける。
蝉原は死に続ける。
『普通であれば死んでしまう痛み』の何千倍、何万倍、何億倍、何兆倍、何京倍もの痛みを経験し、そして、望んでいない理不尽な再生を受け続ける。
――『まるで、命の業みたいだ』なんて、そんなことを、思う暇もないぐらい、蝉原は、ほとんど無限に、破壊と再生を繰り返す。
蝉原の地獄は……終わらないっっ。
★
蝉原を完全に消滅させた直後のこと、
1002号が、『ゼンゴート・ソルDP』に、
「蝉原は……死んだんか?」
と、声をかけた。
しかし、そう声をかけられたソルは、
「……」
ただただ、渋い顔で虚空を睨みつけている。
そんなソルに、1002号は、軽くイラついた顔で、
「おい、ソル! どうなんや! あのクソカスは死んだんか?!」
大声を張り上げたから……というわけでもないのだが、
ソルは、ようやく口を開く。
「最悪だ。……回収する前に、残滓をパクられた。めちゃくちゃ綺麗にハイエナされちまった。『あの野郎(破壊衝動)』……ずっと狙ってやがったな」
ボソっとそうつぶやいたソル。
その発言を耳にした1002号は、眉間にしわをよせて、
「パクられた? それって、まさか、破壊衝動に?」




