6話 『蝉原勇吾』VS『ソル(破壊衝動)』。
6話 『蝉原勇吾』VS『ソル(破壊衝動)』。
(……冗談じゃねぇ……俺は確かに悪人だが……そこまでの地獄に落ちる筋合いはない。センくんに勝ちたいと思っているのは事実だけれど、さすがに、それとこれとは話が別だ。センくんに勝つためなら、俺は確かに、基本的に、何でもする構えだが、それは、あくまでも、『非常識の範疇』の話。『センくんに勝つためなら無間地獄に落ちてもいい』とは思わない。それは、『非常識の範疇』の『外側』の話だ――)
宇宙一のヤクザを自称してはいるが、
宇宙一の罰を受ける覚悟は決めていない。
だから、蝉原は、
「究極超神化8!!」
全身に気合いを入れて、
今の自身に出来る『最強の状態』になると、
そのまま、
「仮想・神羅萬匠‐システム、発動ぉお!!」
切り札の一つであるシステムを発動させる。
蝉原の手の中に、『名状しがたいスマホのようなもの』が出現する。
「シュブ盾のコピーを顕現」
ススっと、スマホを操作すると、
その直後、蝉原の手の中に黒い盾が出現する。
『ソルDPとの闘い』という極限状態で『あがいた経験値』が、
システムの質を底上げしてくれている。
あの時に顕現させた盾よりもはるかに性能が高い。
続けて、蝉原は、
「ムーンライト・ラージャン・エグゾギア‐システム、起動!!」
宣言した瞬間、蝉原の肉体が、
『凶悪な野獣』を模した『狂神回路外骨格』に包まれた。
今の自分に可能な『完全戦闘態勢』に入った蝉原は、
「そんなに長いこと修行する必要はない。俺は天才だから、もうすでに、あんたを支配できると思うよ。それを示す。受け止めてくれ、俺の天才性を」
そう言いながら、ソルに殴りかかった。
豪速の一手。
『ソルDP』との闘いで一皮むけた様子の蝉原。
極限の死を経験したことで、蝉原の器はさらに強固なものへと進化していた。
蝉原の一撃は、究極の領域に到っている。
余裕で存在値1京を超えている神の一手。
その一撃を、ソルは、まともに受け止めた。
バギィイ!!
と、豪快な音が空間内に響き渡る。
殴られて、吹き飛んだソルは、
途中で態勢を立て直し、
首をゴキゴキと鳴らしてから、
「……ふむ……やはり、なかなか大きい。貴様が積み重ねてきたものには、間違いなく大きな価値がある」
と、蝉原の数値に対する感想を口にしてから、
「……究極超神化3」
蝉原視点だと、『だいぶ旧い型』の変身を決め込んでいく。
ソルの究極超神化3を見た蝉原は、
「おいおい、まさか、それが、『最終形態』とか言わないよねぇ?」
と、余裕を取り戻した声音でそう言ってから、
ソルとの距離を一気につめて、
気合いを入れた拳の連打を叩き込む。
「ぐ、ぐ……ぐっ!」
ボコボコにされていくソル。
この闘いで、蝉原は、確かな手ごたえを感じていた。
自分の方が、確実に、圧倒的な強者であるという手ごたえ。
蝉原は、嗜虐的な笑みを浮かべ、
「ちょっと、ちょっと。え、マジで、究極超神化3が限界? そんなショボい有様で、よく、あれだけ大きなことを口に出来たねぇ。あんた、ゴミじゃん」




