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3話 ちょろいヤクザ。


 3話 ちょろいヤクザ。


「……死と再生を経る中で、ザンクと貴様は完全なる一つになった。ザンクは、貴様のCPUではなく、貴様そのものになったのだ」


「……ああ、なるほど……だからか……なんか、妙におしゃべりになっているような気はしていたんだ……」


 そこで、蝉原は、


「さて、ここらで、とても重要な質問をさせてもらおうか……10億年もの長い時間を費やしてまで、なんで、わざわざ俺を再生させた? 俺に何をやらせようとしている?」


「私の依り代になってもらう。貴様の器は貴重だ。おそらく、今後、二度と、貴様ほどの器はうまれない」


「偉大なるあなた様のお人形になれって? うわぁ、なぁんて光栄な話でございましょう。わたくし、感激のあまり、嬉ションしてしまいそうですわ。おほほ」


「……」


 蝉原の軽口に対して、ソルは、まっすぐな視線を崩さない。

 その態度を目の当たりにした蝉原は、


「……俺をうまく扱うなんて、無理なんじゃない? 俺は、どうせ、どっかで、あんたを裏切って、出し抜こうとするよ。俺はそういう人種だからね。この性質は、死んでも、再生しても、絶対に治らない」


「治す必要はない。貴様はそれでいい。それでこそ、私の依り代にふさわしい」


「……利用されるのはもう飽きた。誰かの人形をする気はない。他者に支配されるだけの生き方は性に合わない。俺は、この命ある限り、ずっと、俺として生きていく。もし、俺を利用しようとするやつが現れたら、必ず、その思惑を逆手にとって利用してやる。それが、この俺、蝉原勇吾の生きる道」


「理解している。……蝉原勇吾……勘違いするな。私がお前を支配するんじゃない。お前が私を支配するんだ」


「……おやおや、ベクトルが変わってきたねぇ」


「私を完璧に扱えるようになった時、貴様はセンエースをこえることができる。その時こそ、世界は、真実の終焉を迎える」


「……センくんの名前を出せば、俺が動くとか思っている感じ? 随分と、扱いやすい男だと思われているようで業腹だねぇ」


「私は真実しか話していない。センエースを殺し、この世界を美しく完結させる……それが出来るのは、貴様だけだ。蝉原勇吾。これまで、多くの因子を見てきた。たくさんの命を観察してきた。その中で、飛びぬけて美しい個体がセンエース。あまりにも飛びぬけた個体だから、センエースの対抗馬になれるのはセンエースだけだと、私は思っていた」


「それが、ラスボス・プロジェクトだよねぇ。簡単に言えば、センエースのコピー体を極限まで強化してオリジナル・センエースにぶつける計画」


「センエース以外では、センエースには勝てない……そう思っていたのだが、成長した貴様を見て考えが変わった。貴様なら超えられる。貴様は、センエースを殺せる」


「……ふふ……俺は、ずっと、『蝉原勇吾という男は扱いにくい』と思っていたんだけど、どうやら、存外、扱いやすい男だったみたいだ。俺ならセンエースを殺せると言ってくれた……その言葉に震えている自分が確かにいる。世界中見渡しても、俺のことを、それだけ評価してくれるのは、あんたぐらいだろう」


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