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2話 おしゃべりで自由な蝉原。


 2話 おしゃべりで自由な蝉原。


「思ったよりも『エラいさん』みたいだね。んー、しかし、『ソルの破壊衝動』って、他のソルから、全力で嫌われている厄介者って印象だったのだけれど……ずいぶん、物腰柔らかい感じで、紳士的だねぇ。もっと荒々しいサイコかと思っていたんだけど……どうやら、予想とはだいぶ違った存在らしい。それとも、今のスタンスは、何かしらの演技なのかな?」


「私が『全てを破壊したい』と願っているのは、そういう本能をもって生まれてきたからであって、それ以上でもそれ以下でもない。『この世に絶望してしまい、だから、滅ぼそうとしている』といったような、映画や漫画の悪役のような、『悪意を成す前提となる動機や使命感のようなもの』は持ち合わせていない。私はただ、ありのままに、純粋に、この世界の終わりを望んでいる。そうあるべきだと思っているから」


「あ、そうすか。ま、他人の本能とかには、あんまり興味ありませんけどねぇ……」


 などと言いつつ、蝉原は、創造の魔法で、目の前に、社長イスを生成すると、

 そこに腰をかけて、足を組むと、


「興味はないけれど、知っておく必要はありそうだから、聞いておきたいな。なんで、世界は終わるべきだと思うのかな? 別に終わらなくてもよくない?」


 質問を受けたソルは、

 自身も魔法でイスを生成して、

 そこに腰を下ろしてから、


「……もし、貴様が、漫画の連載を開始したとする」


「はいはい。もし、仮にね。『その可能性は絶対にない』という点に目をつぶればの話ね」


「その時、貴様は、永遠に連載を続けるか?」


「……永遠はないだろうね。綺麗なオチがついたところで終わらせるだろう。その方が美しいから」


「私の気持ちが理解できたようでよかった」


「……ふむふむ。なるほど。あんたにとって、世界は作品なわけだ」


「終わらせようとしているのに、ムリヤリ続けさせようとしてくる編集者……それが私にとっての、『他のソル』であり、『センエース』だ」


「……君にとっては、非常に厄介で面倒な存在だね。これ以上ない敵といえる」


 うんうん、と何度か首をたてにふってから、


「あ、ここらで、ちょっと確認したいんだけど、ザンクはどうなったかな? 俺の中に、あいつがいる気配を感じないんだけど。もしかして、あいつは死んじゃった? それは困るんだよねぇ。あいつぐらい、俺に適応したCPUは、たぶん、他にないから。もし、死んでしまったのであれば、あいつも再生してくれないかなぁ」


「……死と再生を経る中で、ザンクと貴様は完全なる一つになった。ザンクは、貴様のCPUではなく、貴様そのものになったのだ」


「……ああ、なるほど……だからか……なんか、妙におしゃべりになっているような気はしていたんだ……」


 などと言いながら、蝉原は、自分の全部を探ってみた。

 すると、あまりにシックリしすぎているので気づかなかったが、

 確かに、ザンクとの完全融合を果たしたことによる変化が随所にあった。

 ちなみに、見た目も、若干だが、変わっている。

 『蝉原+(ザンク÷5)』ぐらいの感じ。


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