66話 殺戮ナンバー。
66話 殺戮ナンバー。
ガチャルトホテプの登場。
「さあ、一日一回の『ガチャルトホテプ・ガチャ』チャーンス。さあ、君は何を引けるかなぁ」
ソルDPは、特に躊躇なく、
さっと、テプを抱き寄せて、
スっと、彼女の頬に口づけをする。
すると、
ニャルのアリア・ギアス発動。
オメガの愛が永遠である限り――ニャルは永遠に寄り添うと誓う。
究極の可能性に、究極の『愛の器』が合わさって、
ゴート・ラムド・セノワールの神話が、完成する。
――当たり前のように、テプの右目が黄金に輝いた。
そして、一度、強烈に重たい光を、カっと放つ。
揺らめいて、ビキシィっと、世界全体にヒビが入るような音がした。
――ガチャルトホテプは、
「当たり前だけど、究極大当たりぃ。景品は、『煉獄・不滅彗星ランク37564』の魔カードだよぉ」
たんたんと、そう言ってから、
右手に出現させた魔カードを、ソルDPに渡す。
ソルDPは、
受け取ると同時、
「――『煉獄・不滅彗星ランク37564』――」
ビリっと、魔カードを破りながら宣言。
蝉原は、冷や汗を浮かべて、
「や、やべぇ!」
3万クラスの魔法が直であたれば、流石に死ぬ。
そう思った蝉原は、必死になって、対処の方法を探す。
「ナイア! 契約だ! もう一度だけ、シュブを貸してくれ!」
と頼むが、しかし、誰も、うんともすんとも応えてくれない。
そのシカトの意味を、蝉原は理解している。
無言のメッセージの意味は次の通り。
『お前(蝉原)には、SAN値を削ってまで手を貸すほどの価値がない。適度に利用させてもらうが、救いはしない』
「ぐぅっ」
屈辱から、ギリっと奥歯をかみしめる蝉原。
すでに、メテオは降ってきているため、もたもたしているヒマはない。
蝉原は、豪速で、
「仮想・神羅萬匠‐システム、発動ぉお!!」
切り札の一つであるシステムを発動させる。
蝉原の手の中に、『名状しがたいスマホのようなもの』が出現する。
「シュブ盾のコピーを顕現」
ススっと、スマホを操作すると、
その直後、蝉原の手の中に黒い盾が出現する。
それを見た蝉原は、
(ぐっ……だ、だめだ。出来が悪い。今の俺じゃ、シュブ盾の完全再現は夢のまた夢。……これだけじゃ防げねぇ)
そう判断すると、即座に、
「くそったれぇ! ――ムーンライト・ラージャン・エグゾギア‐システム、起動!!」
宣言した瞬間、蝉原の肉体が、
『凶悪な野獣』を模した『狂神回路外骨格』に包まれた。
――と、同時。
蝉原の頭上にメテオが届く。
狂神回路外骨格に包まれ、『シュブの盾の模造品』を構えている蝉原。
その防御力は破格の領域。
しかし、ランク3万のメテオスコールには耐えられない。
ギニギニギニギッッ、バグチィッ、グォチィッ、ボゴゥォオオォッ!!
と、もはや、何が何だかわからない、痛々しい音だけを残して、
数秒と持たずに、シュブ盾も、ラージャンも、まとめて消滅してしまった。
「どぐぁあああああああっっ!!」
まるで、世界の終末を、一身に体験しているようだった。
蝉原の全部が消滅しようとする。




