64話 ダブル。
64話 ダブル。
凶悪な合体エグゾギアに、携帯ドラゴンに、強化モードの乱舞と、積んで、積んで、積んで、しかし、まだソルDPは止まらない。
「そしてぇえええええ! オーバードライブ・サイコジョォオカァアア!!」
激しい精神負荷がかかるかわりに出力が大幅に増大するシステムを起動。
散々、積みまくった結果、
ソルDPの存在値は、
なんと!
「――『8200兆』ぐらいかな。まだ俺より、だいぶ数値が低いけど、どうする? まだ積めそう? 全然、待つけど?」
蝉原は、わらっている。
――あれだけガッツリと積んでいながら、
しかし、全然届いていない。
というか、そんなに強くなっていない!
いや、強くなってはいる!
強化倍率で考えると『10%程度』と、微妙だが、
単純な数値の上では、『700兆も上昇』しているのだ。
ハンパではない強化である。
ただ、これだけ積んでも届かないぐらい、ヌルや蝉原は遠い場所にいる。
それだけの話。
――そして、そんなことぐらい、ソルDPは、ちゃんと理解している。
ゆえに、
「ここからが、本気の積み技だぁあああ! 目を見開けぇええ!」
大きく息を吸い、
全身のオーラと魔力を限界まで底上げしてから、
「混沌神化っっっ!!」
ここで『反則』を積んでいくソルDP。
ここまでは、『ゴートとゼンの所有物だけ』で強化していたが、
しかし、ここからは禁忌を超えていく。
『ヌルから一時的に返却された一部』をブッコんでいく。
そんな、『一線を越えてしまったソルDP』の姿を見て、
蝉原は、しかし、まだ余裕の表情で、
「ヌルの固有神化か。本気みたいだね。なかなか大きいよ。俺とほぼ同等と言ったところ。さすがだ。けど、残念。ギリギリ、俺には届いて――」
と、呑気に称賛している彼の目の前で、
ソルDPは、ニィっと怪しく笑い、
「これで終わりじゃねぇよ。ここで終わったら、わざわざ『分けている意味』がねぇだろ」
「……え? いや、ちょっ、まさか――」
ここで、ようやく、蝉原の顔から余裕が飛んでいく。
困惑している蝉原を置き去りにして、
ソルDPは、さらに、禁忌を殺していく。
「――太陽神化ぁあああああ!!」
さらに、膨れ上がっていくソルDP。
ここまで、盛りに盛ってきた全部を、
さらに、ドカンと跳ね上げるダブル。
先ほどの混沌神化の段階で、蝉原とだいぶ『競っていた』のだが、
ダブル固有神化を使ったことで、
ソルDPは、蝉原のリミットを大幅に超えていく。
こんな禁忌を見せられてしまえば、
さすがの蝉原も、脂汗を隠しきれず、慌てて、
「ちょ、おいおい、待て待て。ダブルはまだ禁止のはずだろ! それはダメだ!」
「ここまで散々、リミットブレイクのチートを連打してきておいて、まさか、ダブルごときで文句を言わないよね」
「いや、いうにきまってんだろ! それだけはダメだって! 話にならない! 勘弁してくれ! 大人気ないぞ! ちゃんと、同じ土俵で戦ってくれ!」
「本当なら究極超神化8とのトリプル運用まで行きたかったんだけど、まだまだ発展途上のゼンとゴートの器じゃ、ダブル運用がギリ」
「暴露いらんから、とりあえずダブルをやめてくれ!」




