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20話 皇帝陛下は威厳たっぷり。


 20話 皇帝陛下は威厳たっぷり。


「あまりにタイミングがよすぎる。もしかしたら、死羅腑と火事場泥棒はグルかもしれない」


「そもそも、中央カジノを任せていた覇剣は、何をしていた? 死羅腑を撃退したのは、覇剣とは別のチームだと聞いたのだが?」


「――『死羅腑』を撃退し、その配下である、12体の『エターナルコール・ドラウグル』を殲滅したのは、一つ星冒険者チームのガットネロらしですね」


「一つ星? はぁ? 一つ星のザコが、神級モンスターを撃退できるワケなかろう」


「ガットネロは、出来たばかりのチームです。リーダーは、レミングウェイ・カティ・デステニィ。あとは、荷物持ちの下男が一人いる、かなりの少数チームです」


「レミングウェイ・カティ・デステニィ……フェイトファミリーの原石だな。知っているぞ。顔を見たことがある」


「なぜ、フェイトファミリーが冒険者なんかに」


「その辺の事情聴取は済んでおります。どうやら、レミングウェイ・カティ・デステニィは、昔から『暗部の日陰者で終わる人生を忌避していた』らしく、このたび、『日の当たる場所に出たい』という、思春期特有の我ままを暴走させたようで――」


「こじれたガキの反抗期など、どうでもいい。それより、被害総額は? 私の金は無事なのか? もし、少しでも被害が出ているようなら、警備を任せていた覇剣には、責任をとってもらう」



「――うるさい」



 その言葉で、踊っていた会議は静まり返った。


「冷静に話し合え。一つずつ、問題を処理していくんだ。こたびの問題は、即座に解決策を練らねばならぬ超重要案件ゆえ、会議の邪魔をする者は、その場で打ち首といたす」


 殺気を放たれて、場がピリっとなった。

 世界最強の実力者である大帝国の皇帝『ラピッド・ヘルファイア・ソルウィング』の言葉をないがしろにする者は、この場に一人もいない。


「まずは、ガットネロとやらの情報を共有しておきたい。10つ星冒険者チーム覇剣が、『足止めしか出来ない』ほどのモンスターを、そのガットネロとかいう一つ星チームが撃退したというのは本当か?」


「はい、真実のようです。まだできたばかりのチームですが、所属している二名は、どちらもフェイトファミリー出身ですから、実力は折り紙付きでしょう」


「強力な冒険者チームの台頭は喜ばしい限り。ガットネロには、正当な報酬と、ランクアップ、そして特別勲章を与えよ」


「はっ」


 そこで、皇帝のお抱えである10つ星冒険者『龍藍連合りゅうあいれんごう』のリーダー『マクシウェル』が、


「陛下。……『覇剣でも足止めは可能』と言う程度のモンスターなど、俺達なら、楽勝で殺せますよ。覇剣の連中は、もう、前線を退いて長い。覇剣の連中ぐらいなら、我々龍藍連合は、無傷でボコボコにできます」


「だから? 何が言いたい?」


「フェイトファミリーの人間なら、そこそこの実力者でしょうけど、しょせんは暗部のガキ。その程度の存在に撃退されるようなモンスターなど、たかがしれています。我々ならば、撃退ではなく、確実に討伐できるでしょう。神級モンスターという称号は、確かに警戒するだけの価値がありますが、しかし、我々、龍藍連合がいれば、問題は皆無。この城にまで被害が及ぶことはありえません。ですので、ご安心を」



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トップに立つ者たちのリアルな思惑が垣間見えて、 一気に物語の世界観に奥行きが出ましたね!
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