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47話 ダークヒーロー。


 47話 ダークヒーロー。


「俺はオリジナルの蝉原勇吾だよ。キャラランク最高位のバケモノ……それの本物だ。……君らみたいな、出来の悪いパチモンの寄せ集めで、どうにかなるわけがないだろう?」


 サクっと蹴散らされていくカミノ陣営。

 まったく相手になっていない。


「ばいばい、カミノ。俺の鎖を断ち切ってくれたこと、心から感謝するよ。せめてもの礼として、一切の苦痛なく殺してあげる」


 蝉原は、一瞬で間をつめて、

 渾身の拳でカミノを貫こうとした――


 と、

 そのタイミングで、

 バリィイインっと、

 何かが砕ける音が世界に響き渡る。

 そして、登場する。



「――悪役見参――」



 ――『センエース・ヌル』という、『無数の仮面』をかぶった道化。


 見参すると同時、

 ヌルは、カミノと蝉原の間に割って入り、

 蝉原の拳を体で受け止めた。


 しっかりとダメージを受けながら、

 ヌルは、背後にいるカミノに対して、


「カミノ、邪魔だ、消えてろ。お前らよりも、裏切り者を片付ける方が先だ」


 そう宣言して、

 蝉原と、ド正面から対峙する。


 まるで、蝉原から守るように、

 カミノたちの盾をするように、


「蝉原の野郎……気色の悪い妄想で、俺を聖人扱いするとは……流石、人を不愉快にさせることに関しては他の追随を許さない天才。おそれいる。はじめてですよ。ここまで、私をコケにしたおバカさんは」


 そんなヌルの言葉を、カミノは、黙って聞いていた。

 脳の中で、処理がおいつかない。


 これまで、ずっと、ヌルを殺すために計画をたててきた。

 しかし、その全てが蝉原の掌の上であり、

 今、カミノは、殺すつもりだったヌルに守られている。


 このカオスがハンパない状況を、すぐに飲み込めというほうが無茶な話。


 呆けているカミノから意識を外したヌルは、

 蝉原をにらみつけて、


「いつか裏切るだろうとは思っていたが、見事、最悪の形で裏切ってくれたな、蝉原。期待を裏切らない、その極上の最悪っぷり。本当に、見事だと褒めてやるよ。特別に、名誉ある切腹の許可をやる。今すぐ、腹をかっさばけ。介錯は任せろ」


「くくく、嬉しい評価だねぇ。……君を殺すために磨いた力を、君を殺すために、思う存分使える幸せ。人生というのは、命というのは、本当にいいものだね、閃くん」


「俺の命令はシカトか。完全に、リンクが切れているな。カミノの馬鹿が……余計なことをしてくれる」


 しんどそうに、そう吐き捨ててから、

 蝉原の目をジっと見つめて、


「……もう、今後は、どんな命令も聞いてくれないのか? 蝉原」


「ははは。もちろんだよ。あの鬱陶しい縛りは、カミノが綺麗に砕いてくれた。あ、ちなみに言っておくけど、壊すのと創るのでは、当然、難易度が違うから、もう一度、俺に鎖を繋ぐってことはできないよ。昔の俺ならともかく、膨れ上がった今の俺を縛るのは困難。保険と一緒さ。若い時の掛け金と、年取ってからの掛け金は全然違う。カミノに出来るのは、鎖を引きちぎるだけ。鎖を創ることはできない。俺はもう、二度と、君に縛られない。この状況をつくるために、必死になって頭をつかい、どうにかこうにか実現できた……」


「すごいやつだよ、お前は。狡猾さという点においては、トウシより上。さすが、D型限定とはいえ、センエースの心を折ったことがある化け物。その天才性を普通に使えたら、俺なんかよりも遥かに優れた王になれるのに ばかなやつだ」


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