19+話 円卓会議。
19+話 円卓会議。
「あんたのウワサはチラっと聞いたことがあったが、まさか、ここまでの実力者だとは思っていなかった」
ギャンバルがそう言うと、そこで、腰ぎんちゃくが、
「さんをつけろよ、デコ助野郎! 姉さんを呼び捨てできる立場か、あぁん?!」
と、ギャンバルに対して、チンピラのような対応をする。
「セン、邪魔。下がっていなさい」
と、カティに言われると、センは、すぐさま、
「すいやせん!」
と、とたんに腰を低くして、すたこらさっさと、カティの後ろに隠れる。
もはや惚れ惚れするほどの、見事なまでの小物っぷりだった。
カティは、軽く汗を拭ってから、
「やつの配下と思しきアンデッドはすでに排除しているわ。あなた達、10つ星冒険者チーム覇剣が、首魁である死羅腑を足止めしてくれていたから、被害を最小限に抑えることができた。感謝するわ」
「……い、いや……俺たちは……」
何もできず、ただ、無様にやられていただけ……
そう言ったのだが、カティは、まっすぐな目で、
「確かに勝てなかったかもしれない。けど、あなたたちが磨き上げてきた『その力』がなければ、足止めすらできなかったのも事実。あなたがどう思おうと、あなたが壁としての役割を果たしたのは事実。成果をあげた者には、できれば、胸を張ってもらいたいわね」
「……そう……言ってもらえたこと……感謝する」
カティに評価してもらった分だけ、
羞恥心に火がつくようだった。
今までサボってきたことを恥じるギャンバル。
カティのまっすぐな目を見つめながら、心の中で、
(……もう一度……やりなおそう……最初から……拳の握り方から……)
そう、かたく誓ったのだった。
★
――ここは皇城。
今は、緊急の円卓会議が行われている。
「まさか、ヤオヨロズの迷宮から、モンスターが這い出てくるとは……これは、緊急事態だぞ」
「あの迷宮の入り口には結界が張ってあるのではなかったのか」
「神級のモンスターだけは、結界を突破できるのかもしれない」
中央カジノの裏金庫には、上層部の人間の財産が隠されているため、
ほかのどんな災害よりも、迅速に人員が収集され、即座に対策会議がはじまった。
「結局のところ、モンスターは、対処できたんだろう? なら、今は化け物どうこうよりも、金庫の問題を先にさせてもらいたい。破られたというのは本当か?」
神級モンスターの出現により世界の安寧が崩れるか否かよりも、
自分の金がなくなっていないかどうかを心配する。
貴族とは、そういうもの。
「神級モンスター『死羅腑』と、その配下のアンデッドが暴れているスキを狙って、裏金庫から金を盗み出した不届きものがいる。手際のよさから、おそらく、ファントムスターズではないかと」
「とんでもなく恥知らずの火事場泥棒。死刑は当然。火あぶりにしてやりたい」
「手際もそうだが、あまりにタイミングがよすぎる。もしかしたら、死羅腑と火事場泥棒はグルかもしれない」
「そもそも、中央カジノを任せていた覇剣は、何をしていた? 死羅腑を撃退したのは、覇剣とは別のチームだと聞いたのだが?」




