44話 ねぇ、聞いて、聞いて、俺って、センエースの心を折ったことがあるんだぜ、すごいだろぉ。
44話 ねぇ、聞いて、聞いて、俺って、センエースの心を折ったことがあるんだぜ、すごいだろぉ。
蝉原は、心の中で、
(……ヌルが復活するまで、まだだいぶ残っているな。超苺と酒神の可能性にビビりすぎて、対処を焦りすぎた。超苺はともかく、酒神を食べるのには、もう少し時間をかけるべきだったな。……しゃーない……おしゃべりで時間を稼ぐか……)
と、時間計算しながら、カミノに対し、
「――あと少しで、俺もヌルも、まとめて吹っ飛ばせるだけのバケモノに成長するだろうね。センエースは、そういう男だ。だから、俺も、置いて行かれないように……ヌルを奪い取る。最初から、ずっと、そういうつもりで計画をたててきた」
「……」
「カミノ……まさか、俺が、お前の計画通りに動いているとでも思っていたのか? はは。勘弁してくれよ。たかが、『元主人公のパチモン』ふぜいが……センエースの心を折ったことすらある、この蝉原勇吾をコントロールできるワケないだろう」
「……」
「お前が俺を利用したんじゃない。俺がお前を利用したんだ。……『どうすれば、ヌルとの間にある鎖を断ち切ることができるか』という、最初の絶対条件から始まって、どうすれば、ヌルを喰らい尽くすことができるか……そういう、『今』を実現するために、俺は何をどうするべきか……必死に考えて、考えて、考えて……そして、俺は実行にうつした。お前を使って、俺の鎖を壊し、弟子たちを吸収して、お前らも奪う……これで、俺はヌルを奪える。完全なる頂点にたてる。そのあとは、完全な自由だ。すべての世界を俺の悪意で染め上げる」
「……」
「俺が、そこまで、徹底的にお前を利用するつもりだって、気付かなかっただろ? なんでだと思う? お前が覗き見するであろうログをいじくったからだよ。俺のことをナメるように。『俺を利用しよう』と思わせるために……なぜなら、『創世神化に届いた原初のイタズラ』ぐらいじゃないと、俺たちの間にある鎖を壊すことはできなかったから……他にもいくつか手段はあるが、どれも難易度が高くてねぇ。一番成功率が高そうだったのが、お前を利用することだった。俺がお前に直接頼んでも、絶対に鎖を断ってはくれない。じゃあ、どうするのがいいだろう。……そうだ。お前に『蝉原勇吾とヌルを戦わせよう』と思わせよう……」
蝉原は、おしゃべりしながら、心の中で、
(ヌルの野郎……まだ時間がかかっているのか……カミノたちの封印が、思ったよりも高性能だった……いや、違う……ヌルの解呪能力が、想定より低かった。戦闘力の方は、かなり改善されたが、解呪能力の方は、まだまだゴミだったって話……まったく、いちいち、想定を下回ってくれる……本当に、基礎スペックが低い……)
と、文句を口にしていると、
そこで、カミノが、蝉原に、
「ログの書き換えなんてやったら、ヌルにバレるはずだ。できるはずがない」
「書き換えるなんてことをしたら、バレるにきまっている。だから、俺はそんなことはしていない。ニュアンスをいじって、印象を操作しただけ。報告書の形式に、独自の視点を入れる程度なら、問題視する上司は少ない。だから、正直な話、そんなに難しくはなかったよ」




