表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
866/1228

41話 蝉原をナメた代償。


 41話 蝉原をナメた代償。


「――無崎の因子なら、俺も持っているんだよ。なんせ、『俺(蝉原勇吾)』は、『周囲の人間が無崎に抱いている印象』をベースにした『悪童』だから」


 センエースは、プライマルメモリの主人公たち全員のタスキを受け取った光。

 対して、蝉原勇吾は、プライマルメモリの暗部を煮詰めて仕上げた重たい闇。


 センエースが背負っているものの大きさは言うまでもないが、

 蝉原勇吾が背負っているものも、サイズだけで言えば負けていない。


 ゆえに、蝉原は、ほとんど苦戦することなく、

 超苺の腹部を貫いた。

 ズブリと臓物をひねりつぶす感覚が腕に響く。


「超苺……『お前が持っている無崎の因子』を仮に5点だとすると、俺のもっている無崎の因子は3点ぐらい。お前のものより、俺の方が、所詮は幻影でしかない分、薄いのは事実だが……しかし、そこまで大きな差があるわけではない。だったら、存在値で大きくアドバンテージのある俺が勝つのは道理」


 などと言ってから、

 蝉原は、バクリと、超苺を奪い取ってしまった。


「はっはぁあああっ! なんだかんだいって、結局、やはり、超苺が一番でかいなぁああ! 適合していく! 膨らむ、膨らむぅうう!」


 超苺を奪われるシーンを目の当たりにしたクロートは、


「あ……ぁ……」


 絶望で震えていた。

 他のメンツはともかく、超苺だけは、『そう簡単に負けないだろう』と、どこかで思っていた。

 超苺なら、なんだかんだ、どうにかしてくれるだろう、

 と、そんな『強い信頼感』をたやすく打ち砕かれて、放心してしまうクロート。


 動けなくなっているクロートに、

 蝉原は、


「クロート。お前は何もかもが微妙だったが……絶望に染まる表情だけは、なかなかどうして一級品じゃないか」


 と、最後に、そんな感想を述べてから、

 バグリと、クロートを丸のみしていく。


 『まともな弟子』を全員飲み込んだ蝉原は、

 最後に、『まったくまともじゃない弟子』である酒神に視線を送り、


「良い目をしているな、酒神。さすが、クロートとは出来が違う」


 虫ケラを見る目を崩さない酒神は、

 武を構えて、


「……クロートやデビナ程度のカスをいたぶってうれしいでちゅか? 正直、なんの自慢にもなりまちぇんよ。『あの超苺ですら秒殺できた』というのは、確かに、ちょっと驚きまちたけど、でも、あんた程度では、絶対に、お兄には勝てまちぇん」


 ハッキリと断言しつつ、

 蝉原に対して圧力をかけていく。


 酒神は、弟子の中では間違いなく最強。

 別格の存在値を誇るスーパースペックの持ち主。


 それは間違いない。

 事実、これまでの誰よりも蝉原にダメージを与えている。

 しかし、そこまでが限界。

 蝉原に勝つことは出来ない。


 時間がたつにつれて、酒神の損傷が増していく。

 対する蝉原は、無傷でこそないものの、まだまだ余裕の表情。


「流石に、酒神シリーズの因子を持つだけあって、まあまあの力だね」


 蝉原は、優雅に、酒神を評価しつつ、


「とはいえ、流石に『薄すぎる』かな。俺の無崎性よりも、さらに薄い。ヌルの感情ブースターとしての役割以外を期待されていない、出来損ない用のハズレヒロイン。……『ゴリゴリの酒神シリーズ』が相手だと、流石の俺でも多少は苦戦するだろうけれど……お前は所詮、出来の悪いお人形さんだ……俺どころか、あそこにいる元主人公たちよりも精度の低い、隠し味程度の極小フラグメントしか持たない、ガワだけの、安いハリボテ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ