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29話 1002号は、ヒーローじゃない。いや、前フリとかじゃなく、マジで。


 29話 1002号は、ヒーローじゃない。いや、前フリとかじゃなく、マジで。


 もともと、ヌルと蝉原を繋いでいる鎖など、大したものではない。

 いや、かなり重たいものではあるのだが、元主人公であるチーター『カミノ』にとっては、十分に、処理可能なもの。


「おやおや。陛下と俺のつながりが消えてしまったねぇ」


「もう、お前はヌルに縛られない。ヌルが死んでも、お前は死なない。自由になれよ、蝉原。……それとも、まさか、お前、ずっと、ヌルの手下をしていくつもりか?」


 カミノの提案と要求を聞き終えた蝉原は、

 そこで、グっと、冷たい笑顔の気温を下げて、


「もちろんだよ。俺の王は真・神帝陛下だ。俺は、この世で最も尊き存在である陛下に永遠の忠誠を誓っている。そんな陛下と俺を繋いでくれていた大事な鎖を壊してしまった君に、俺は激しい怒りを感じているぐらいだよ」


「……」


「俺から大事なものを奪った……そんな君にはオシオキをしないとね。ケジメってやつさ。そうだな……小指一本ってところかな」


「小指一本を落としたら許してくれるのか? そんなもん、いまさら、安いもの――」


「違う、違う。小指一本以外、全部、消滅させることがケジメだよ。小指だけは回収させてもらう。俺のコレクションとして大事にさせてもらうよ」


「さすが、宇宙一のヤクザは格が違った。ケジメのつけ方一つとってもスタンスが違う」


 などと、言葉を交わし合ったところで、

 おだやかな時間は終わった。


 蝉原は、トプンと、闇に溶ける。


 それを確認すると同時、

 カミノは、


「1002号! 蝉原を『説得(物理)』してくれ!」


 まだまだ元気な1002号に、蝉原の対処を任せる。

 カミノ、無崎、セイバー、天童は、ぶっちゃけ、もうガス欠で動けない。

 頼みの綱は、切り札筆頭の1002号だけ。

 1002号は『カミノの忠実な配下というわけではない』のだが、しかし、『自分が動くことだけが現状を打開するための最善手である』と理解できるだけの頭はあるので、


「オリジナルのザンクさんの次は、蝉原勇吾……世界トップクラスに厄介なカス共の処理を押し付けられて、文句の一つも言えずに、やらざるをえん状況……ほんまに、ザンクさん、不自由になったもんやなぁ……自由さを大事にしとった頃が懐かしいわ」


 などと、ブチブチ大量の文句をたれながらも、

 1002号は、闇に忍んだ蝉原を追う。


 蝉原の、

 『死角から、カミノに対して、削りをいれようとしている動き』をとらえると、


「……カミノが死のうが生きようが、ぶっちゃけ、どうでもええんやけど……今、この瞬間だけは、死なれると、戦力低下という意味でウザいから、殺さんといてもらえる?」


 と、『倫理観や道徳という概念からはかけはなれた言葉』を口にする、ザンク・ザンク・レボリューション1002号。

 彼は、愛を知って、不自由になったが、しかし、真人間になったというわけではない。

 『テラスのためなら何でもする』という、新しい覚悟を胸に刻んだだけ。

 それ以上でも、それ以下でもない。

 自分とテラス以外のやつが死のうが生きようが、ぶっちゃけ、どうでもいい。

 命の調和とか、世界の平和とか、宇宙の安寧とか、そんなもんに興味はない。


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