26話 『裏の裏の裏』よりも遠い裏。
26話 『裏の裏の裏』よりも遠い裏。
先ほどと同じく、バラバラにされたナイトメア・トゥインクル・EZZパニッシャーを再集結させる聖天無神。
――が、それも、
「だから、同じはあかんてぇ。普通に警戒しとるよぉ。バチバチに、二手目を警戒してたよおぉ。二発目はいつかなぁ、って、おしゃべりしながらも、ずっと、パリィのタイミングをうかがってたよぉ」
当たり前のようにジャストタイミングでガードされてしまう。
警戒している相手に奇襲は通じない。
――が、そんなことは、カミノも当然わかっている。
伊達や酔狂で、テーブルゲームのプロを目指したわけではない。
この二手目までは、撒き餌。
ヌルに対して使った手法を、あえて、そのままそっくりなぞるというワナ。
本命は、次の一手。
――と、ザンクもそう考える。
だから、3手目を警戒する。
というか、3手目こそ、最大級に警戒する。
――そんな、『ザンクのヨミ』に対して、
カミノは、『虚』をつきつける。
ザンクはトウシに次ぐ万能天才だが、
こと、盤上の支配力という点においては、
カミノの方が、確実に上。
「……ガチで言うたらなぁ……ヌルが、お前を呼ぶことも、想定済みじゃい、ぼけぇっっ!!」
そう言いながら、
聖天無神は、アイテムボックスから、一枚の魔カードを取り出す。
「……3手目を防ぐことが大事だ……と、想いながら、俺と戦っていただろう、ザンク。なんだったら、4手目、5手目の可能性も考えとったやろ? ……残念。それこそがワナ。本当の奇襲は、0手目に打ってましたぁ」
「……?」
理解できないザンクの背後から、
『彼』は、忍び寄る。
聖天無神は、ニっと笑って、
「……ザンクを殺せ、『1002号』……そして、今日からはお前がオリジナルになれ」
最初から、ずっと、影にスタンバっていた『ザンク・ザンク・レボリューション1002号』は、自分の全身全霊を込めて、
「――龍閃零崩拳――」
極大の一撃をぶっかます。
『ヌルをコピーしたオリジナル・ザンク』をコピーした1002号の超必殺技。
1002号の性能は、数値の上では、オリジナル・ザンクよりも低いが、
しかし、『3000兆』程度の出力は可能になった。
さらに、とある理由で、戦闘力が爆上がりしているため、
――奇襲の一撃としては十分だった。
「ずぅおおおおおおおっっ!」
想定外の、ド級一撃をくらったザンク。
完全に予想を外されて、普通に腹部が吹っ飛んだ。
中心に大ダメージ。
まだ死んではいないが、
しかし、これだけ削れば、
「ここで、お待ちかねの3手目だ、ザンクさんよぉおおお!」
先ほど処理された二の矢『ナイトメア・トゥインクル・EZZパニッシャー』を、再々」集結させて、ザンクにぶちかます。
「ちょっ……まっ……待って――」
オリジナル・ザンクは、数値の上では、1002号よりも上。
しかし、一つだけ、1002号の方が絶対的に上の要素がある。
それは、本物の絶望と向き合った経験値。
『数字上の経験値』だけは大量に注がれているオリジナル・ザンクだが、
ヌルの過保護のもとで数値だけを高めてきた彼は、
『マジの絶望を乗り越える』という経験値が決定的に不足している。
だから、対応できない。
存在値5000兆。
すごい数字だ。
けど、
だから、なんだ?
「待ってあげなぁああああい!」




