23話 オリジナル39。
23話 オリジナル39。
ヌルの全身を包み込む。聖天無神のナイトメア・トゥインクル・EZZパニッシャー。
ヌルの全てをグググっと抑え込んでいく。ヌルは、丁寧に抵抗した。ナメるわけでも、対応を誤ったわけでもない。対応が遅れたわけでも、足りなかったわけでもない。
――ただ、ヌルの『丁寧さ』を超えるぐらい、
1000億年の積み重ねは伊達じゃなかった。
(……すごいな……封じられる……この程度の封印ならば、正直、すぐに抜け出せるだろうが……しかし……『ほんのちょっとの時間』は、本当に、普通に封印されてしまう……すごいな……よくもまあ、これだけ『存在値に差がある』のに、封印を通すなんてことができるな……俺にはできないことだ……すごいな……)
心の中で、ヌルは、カミノに称賛を贈る。
ここまで『頭おかしい次元違いの積み重ね』を経てきたカミノに敬意を表する。
――そして、最後には、
バチンッッっと、完全に封じ込んでしまった。
それを確認した直後、
聖天無神の合体が解除される。
元に戻った元主人公たちは、
「「「よっしゃぁああ! いけたぁああ!」」」
と、いったん、喜んでから、
カミノが、
「って、喜んでいる場合じゃねぇ! 多重封印だ! 封印の上から、封印をかますぞ!」
そう叫ぶと、
全員が一斉に動き出す。
ゴミ袋の上からゴミ袋をかぶせる、
そんなことを、何度も繰り返す元主人公たち。
ある程度、多重封印を決め込んでから、
「よし! あとは、このバグったソウルゲートを封印する! 完全封印は無理だが、これで、それなりの時間を稼げるはず――」
と、カミノが、そうつぶやいた直後のことだった。
「――ははは。ガチで、ちょっとだけ封印されとるやん。ダッサ」
背後から声がして、
カミノたちは、一斉にバっと振り返る。
すると、そこには、
「……いや、まあ、流石に、今回は、あんたらの底力を褒めておくべきかな。なかなか、すごいやん。『フラグメントの一部しかもってないお人形さんたち』が、ほんのちょっとだけとはいえ、よくもまあ、あの真・神帝センエース・ヌルを封印できたな。すごい、すごい。……これ、煽っとるわけやないよ。ザンクさんは、ガチでそう思うとる。メチャクチャすごい偉業とは思ってへんけど、まあまあすごい快挙やとは思うとるからね。そこんとこ、勘違いせんといてね。まあ、別に勘違いされても、特に問題ないけど」
彼は、田中・イス・斬九。
1001号でも、1002号でもない。
完全なるオリジナルの、田中・イス・斬九。
「……まあ、でも、『お人形さんたちの底力に押されて封印される可能性』を考慮して、直前に、ザンクさんを呼び寄せておいたところが、真・神帝の抜け目ない感じやな。ボスが丁寧な慎重派やと、配下は、諸々、安心して行動できる。ザンクさんは、大幹部連中とは違い、真・神帝のことを、『この上なく尊い王』やとは思うとらん。けど、相当に『出来のええ資質の持ち主』であるとは思うとる。というわけで……あんたらを殺して、ボスを取り戻させてもらう。ザンクさんが『望み通りの自由な人生』を謳歌するためには、ボス不在よりも、ボス稼働中の方が、都合がええんよ」




