22話 狂気的な作戦。
コミカライズ版センエース、9話配信記念!
一日10話投稿+スペシャルイラストの投稿!!
――達成っっっ!!
ここまでついてきてくださった読者様、
コミカライズ版センエースを見てくださった読者様、
本当に、ありがとうございます!!
これからも、読者様に、少しでも楽しんでもらうべく、
全力で、センエース神話と向き合っていきます!
22話 狂気的な作戦。
「くらいやがれぇえええ! 『ナイトメア・トゥインクル・EZZパニッシャー』!!」
極大の出力が込められた封印魔法が、ヌルに襲い掛かる。そこらのザコなら、コンマ数秒たりとも抵抗できず、かつ、何をしようと、永遠に抜け出せないレベルの封印魔法。
そんな、聖天無神渾身の封印魔法に、ヌルは、
「……吐くほど出来が悪い封印魔法だな。合体×合体だと、こんなにも粗悪になるものか」
『これは、さすがに、相手にならない』という率直な認識のもと、
それでも、ヌルは、ある程度、本気のレジストを決めていく。
一般人視点で言えば、『50メートルを、ちゃんと全力でダッシュした』という程度の労力で、ヌルは、ナイトメア・トゥインクル・EZZパニッシャーに完璧なレジストを決めこんだ。
鼻息だけでも消し飛ばせるであろう魔法に、50メートル全力ダッシュレベルの労力を決め込んだヌルは、完全に憶病の権化。
――あっさりと封印魔法を蹴散らされた聖天無神は、
「……はぁ……はぁ……こ、こんなダメなもん? ……世界最強格の超人4人の合体だぜ? それが……こ、こんな……」
あまりにもショボすぎる結果に、眩暈がした。
「ひ、ひどすぎる……」
と、落ち込んでいる聖天無神に、
ヌルは、
「合体はロマンがあるが、それだけだな。やるなら、一時的な合体ではなく、俺のように、完全に奪いとる方がいい」
「……ぐっ……」
ギリっと、奥歯をかみしめる――
――と、そこまでの、
『徹底した演技の果て』に、
聖天無神は、
「――今ぁあああああああっっ!!」
魂魄の『芯の奥』で練り上げておいた器を使って、
『ヌルにバラバラにされた、先ほどのナイトメア・トゥインクル・EZZパニッシャー』を再結集させる。
聖天無神の渾身の策。
『立ち合いは、軽くレジストさせて、あとは流れで』
という、二段構えの構成。
『合体したら数値はともかく、制御周りが低下する』という『絶対的な前提』をフェイクに盛り込む作戦。
『合体したら繊細さが低下する』という認識は、別に勘違いでも間違いでもないが、
積み方次第では、合体によるコントロール低下を極限まで抑える事も可能。
カミノは、『最初』から、ここでの一手にかけていた。
『ここをスカされたらもう知らん』の構えで、
とにかく『全員合体状態で封印する』という、
『その一手だけ』に全振りした作戦をたてた。
カミノは、その場の思い付きで合体や封印の提案をしたわけではない。
――センエースと対峙していた1000億年の中で、
この瞬間を、ずっと想定して、自分の中に、
練りに練った奇襲として積み重ねてきた。
1000億年分の積み重ね。
それだけの地獄を積んだから、
――だから、届く。
「お、おおっ……」
ヌルの全身を包み込む。
聖天無神のナイトメア・トゥインクル・EZZパニッシャー。
ヌルの全てをグググっと抑え込んでいく。
ヌルは、丁寧に抵抗した。
ナメるわけでも、対応を誤ったわけでもない。
対応が遅れたわけでも、足りなかったわけでもない。
――ただ、ヌルの『丁寧さ』を超えるぐらい、
1000億年の積み重ねは伊達じゃなかった。




