14話 カミノのチーターぶりは、とどまることを知らない。
14話 カミノのチーターぶりは、とどまることを知らない。
無崎は、語らない。ただ、ジっと、深淵をにらみつけている。心なしか、キレているようにも見えた。
寡黙な無崎は、ただ一言だけ、
「――無双神化――」
そうつぶやいた。すると、無崎の全部が沸騰する。
彼だけの固有神化が爆裂な輝きを放つ。
そのまま、無崎は、ヌルに向かって特攻。
とんでもない速度。
アストロを駆る技能は、完璧の一言。
――プライマルメモリの元主人公たちの中でも、
『潜在能力』という点においては、ブッちぎりでダントツの無崎。
そんな彼の全力を、ヌルは余裕で受け止める。
「……フラグメントを少しだけ奪われたが、しかし、無崎の『大半』は俺の中にある。しぼりかすが本体に勝てるワケないだろう」
現状の無崎は、
善と純粋悪に分かれた魔〇ブウの、善側みたいなもの。
力の大半が、ヌルの中に残っている状態なので、
圧倒的な存在であることは間違いないのだが、
しかし、状況が悪すぎて、本来通りの『無敵の活躍』ができていない。
そんな彼を横目に、
地面に転がっている『ほとんど首だけカミノ』は、
「――はないちもんめ――」
さらに、チート宣言をかましていく。
カミノのチーターぶりは、とどまることを知らない。
もはや、遠慮も自重もクソもない。
ただひたらすに、徹底的に、イカれたチーター道を歩み続ける。
チート宣言により、カミノの全身が、また、紫銀のオーラにつつまれた。
さっきとまったく同じ要領で、そのオーラを、口の中に集めて、もぐもぐと、咀嚼してから、ぺっと吐きだす。
吐きだされたダークオーラドールに、
また、スピリット・ファンクションを執行し、
その上で、
「ミラブルース・アマルガメーション!!」
ヌルから回収した『元主人公のフラグメント』と融合させる。
一連の手順を、さらにもう1回繰り返す。
――結果、
この場に、
聖なる死神『セイバーリッチ』、
究極超天使『天童久寿男』、
という、『プライマルメモリの元主人公』の中でも最高格の二体が出現する。
最高格の力をもつ化け物たちは、それぞれ、顕現すると同時、
「悪鬼羅刹は表裏一体♪ ぼくちゃんは独り、無間地獄に立ち尽くす♪ ――そう、このぼくちゃんこそが、聖なる死神セイバーリッチ♪ 満を持して、ヒーロー見参♪」
「――俺の役目は、究極超天使『天童久寿男』として、センエース・ヌルを止める翼となること。任務了解。出撃する。デビルメアトランク・セラフレア/トロイメロイ、起動」
覚悟を叫んでから、
「聖死神化!」
「熾天神化!」
それぞれの固有神化を解き放つ。
フラグメントの一部だけを回収してツギハギしただけの現状の輝きは、『完全な状態』と比べれば、かなり薄味なのだが、
しかし、それでも、とんでもない存在値になっている。
この場にいる全員が、余裕で1000兆超えという異常事態。
圧倒的な力を持つ、二人の元主人公に、
『ほとんど首だけカミノ』は、
「セイバーさん! 天童さん! すこし、こらしめてやりなさい!」
と、討伐指示を出す。




