12話 『まともに闘う気があるのか』と問いただしたくなるほど、両者ともに、バグ技・裏技を乱舞しあう。
12話 『まともに闘う気があるのか』と問いただしたくなるほど、両者ともに、バグ技・裏技を乱舞しあう。
「ヌル、てめぇ……『だるま』を使いやがったな……」
「願い玉の闇と融合している俺にとって、禁止魔カードは、パッシブスキルみたいなもの。いつでも、どこでも、無詠唱でも、自由に使える」
とことんチートな存在。それが、『センエース・ヌル』という異常事態。
デバッグコマンドを封じられたカミノ。
しかし、この程度で絶望するほど、カミノの底は浅くない。
――カミノは、
「俺相手に、禁止魔カードが切り札になると思うなよ!! 奇襲をかける前に、ちゃんと準備はしてきたぁああ! 『サイコイヴ-システム』、発動ぉおおおお! 禁止魔カードの支配領域とコードを解析!」
『書き換えるため』に解析していくカミノ。
そんなカミノの一手に対し、
即時対応するヌル。
「――『ルナティック・サイコイヴ-システム』、発動。カミノの解析をシャットアウトせよ」
止まらないチート合戦。
まともに闘う気があるのか、と問いただしたくなるほど、
両者ともに、バグ技・裏技を乱舞しあう。
ふざけた創造主と、ふざけた突然変異の暴走。
――そんなチート合戦の中で、カミノは、狂気の笑顔を浮かべて、
「行儀のいいチート力で俺に対抗しよぉって?! 片腹いたいわぁあああああああ! 禁止魔カードなんざ、しょせん、『対応策を知らない初心者にしか使えない初見殺し』にすぎねぇ!! 完璧にネタバレしている俺には通じねぇ! 通じないどころか、逆に利用してやる! 正式に言ってやるぜ! そりゃ悪手じゃろ、ありんこぉおおおお!」
「……雑なテンプレだ。ファントムトークもテンプレも全部チープ。お前は『センエース』には届かない」
「誰がセンエースに届きたいっつったぁぁあ! あいつの可能性に賭けて、タスキを託しはしたが、けど、別に、焦がれているわけじゃねぇええ! あんなキチ〇イに憧れるほど、俺はラリってねぇんだよぉおお!」
あえて、腹の底から大声を張り上げて、
自分の中にある全部を沸騰させようとする。
ヌル相手には、とにかく『全部』を出すしかない。
余力を計算する余裕はない。
とにかく全身全霊で、ヌルの邪魔をしようと必死のカミノ。
カミノは、バキバキの目で、ヌルを睨みつけ、
「禁止魔カードの使い方を教えてやるぜ、三下ぁああ! パチモンの粗悪品でしかないお前に、俺の『本格的な禁止魔カード乱舞』を、まともに受け止める勇気があるかぁ! ははーっ! 無理だろうな! 貴様はただの臆病者だぁああ!」
「今の王子テンプレはなかなかよかったが……だからって、まともに受け止めてやる気はない。その義理も価値もない」
そう言いながら、ヌルは、
瞬間移動で、カミノの背後を奪い取り、
またもや、執拗に、カミノの首裏めがけて手刀をぶち込む。
これまでは、なんとか耐えられてきたが、今回は、
ズバァァアアアアアアアアっ!!
と、豪快な切断音が響き渡る。
切り離された『カミノの首』は血をまき散らしながら、宙を舞った。




