4話 徹底的に完全な8を追い求めるヌル。
4話 徹底的に完全な8を追い求めるヌル。
「……今、俺の世界の中心で、センエースが、『絶対的主人公補正』を否定した」
――カミノの発言を受けて、
ヌルは、
「……正解の手段とは言い難い」
そんなヌルの『絶妙な重み』を伴う強がりに対し、
カミノは、まっすぐな目で、
「そりゃそうだろう。正解なんてこの世にはない。あるのは、いつだって、『間違い』と、『ギリギリ間違いではないもの』の二択だけ。正解なんて言葉でくくっていいものは、リアルの世界に存在しない」
おざなりのファントムトーク。
カミノも、ファントムトークを使うことはできるが、しかし、セイバーやセンエースのように、『ファントムトークを得意としている』というわけじゃないから、あまり、優雅に、世界をケムに巻くことができない。
自分が、ファントムトークを得意としていないことは理解できている。
しかし、こういう時、ファントムトークを使いたくなってしまう気持ちだけは、どうしても拭えなかった。
『センエースと、長年、対峙し続けてしまった弊害だ』なんて、そんなことを考えるカミノ。
カミノは、ギっと視線の強度を強めて、
「今、この場において、大事なことは、正解か否かじゃない。現実問題、センが、絶対的主人公補正を否定して、新しい境地に至ったということ。あいつが無敵なのは『主人公だから』じゃねぇ! てめぇの『ヌルさ』とは覚悟が違う! どっちが上かなんざ、言うまでもねぇ!」
「……やけに突っかかってくると思っていたが……今の虚勢で確信した。なるほど。どうしても時間を稼ぎたいというわけか。初手の奇襲が、ガチの殺意に染まっていたから、ゴリゴリ本気の神風特攻で殺しにきたのかと思っていたが……センエースを磨く時間稼ぎがしたいだけ……いや……俺の完成を防ぐための邪魔か? まあ、どっちの意味もある感じかな」
「……」
「なんでもいいが……その鬱陶しいだけの時間稼ぎに付き合ってやる気はないぞ。センエースを、俺のための『よりよい経験値』にする時間稼ぎなら、俺にメリットがあるから、付き合ってやってもいいが、『お前が俺の邪魔をすること』を許容することは出来ない。俺は、一刻も早く、俺を完成させないといけない。成長したセンエースを確実に殺して糧とするために、出来るだけ強くなっておかないといけない。……俺はすべてを完璧に成す。……センエースを殺し、あえて泳がしておいたフラグメントも、全てあますことなく回収し……パーフェクトな究極超神化8に辿り着く」
そう宣言してから、
ヌルは、全身に気合いを入れて、
「――究極超神化8 破道混沌/黒蛇邪気眼――」
最果ての変身――の『超簡易版』に到る。
『パーフェクトコール』はまだまだ出来そうにないが、
一応、『8』を実行することまでは出来た。
流石は8と言ったところで、『超簡易版』とは思えないほどの狂気を放っている。
神々しい7を超えた先に辿り着いた世界。
それは、極めて禍々しい邪悪さの極致。
その威容は、間違いなく邪神と呼称すべき、殺戮の具現。
バチバチと、血のような赤い電流が走り、
体を包み込んでいる漆黒の鎧は、関節部分がドクドクと脈動している。
そのヤバさに対抗するかのように、
カミノの方も、切り札を切った。
「創世神化!!」




