3話 禁止魔カードを中心に置いた、カミノとヌルの歪な関係性。
3話 禁止魔カードを中心に置いた、カミノとヌルの歪な関係性。
『禁止魔カード』の根源を内包する化け物――という点が、『センエース・ヌルの厄介な点』の中でも、とりわけ大きい要素。
禁止魔カードなどという余計なものがなければ、ヌルは、ここまで、厄介な存在にまで膨れ上がることはなかった。
つまりは、『カミノが余計なものを世界に残したから、この世界は闇に覆われた』と言えなくもない。
カミノは自分で自分の首をしめている。
アホなイタズラ心で、禁止魔カードなどという危ないものを世界に残したせいで、最も大事な世界である『ニコトピア』を失うかもしれない、という状況に陥っている。
――ぶっちゃけた話、ニコトピア以外がどうなろうと知ったこっちゃないのがカミノの本質。
ニコトピアさえ取り戻せれば、それで、オールオッケーの狂人がカミノなのだが……カミノも、一応、『人間』なので、多少は『心』というものがなくもない。
そんなカミノの、現状の心境が次の通り。
(俺のイタズラのせいで、世界が闇に覆われて、喰い尽くされて、全部が消えてなくなりそう。それそのものに関しては、正直、なんも思うところはない。知らんがなって感じだ。……仮に『ニコトピアだけはヌルの脅威にさらされない』という前提だったとしたら、俺的に問題は何もなかった。『ニコトピア以外の世界がどうなろうと、マジで、どうでもいい』ってのが俺の本音。ただ、現状、ヌルを放っておくと、ニコトピアもがっつりと危ういから、放置は絶対にできない)
ヌルをどうにかするのは、カミノにとって絶対の大前提。
『ヌルの放置』は『ニコトピア消滅』とイコールだから。
ただ、そんな絶対的前提の感情にプラスして、
カミノの中では、
(……ほかの世界のことなんざ知ったこっちゃない……ってのは、マジで本音なんだが……でも、仮に、ニコトピアが関係していなかったとしても、ちょっとぐらいは騒動の収束のために動いただろうな)
という感情もある。
その心は、
(……だって、『俺のギャグのせいで世界が滅ぶ』とか、『いい気分』ではないからねぇ。責任を感じたりはしないが、『気まずい』と思うぐらいの『普通の感性』なら、一応、俺にも残っているからねぇ)
心境をたとえるなら『原子爆弾を発明してしまった』――みたいな感じ。
彼はマッドなので、発明したことに関しては別に後悔していない。
面白い実験ができて、その結果、質だけで言えば『優れている』と言っても過言ではないものが完成した。
後悔はしていない。
自分がやらかした結果として、世界が大混乱に陥っている。
そのことに対して、『あー、まー、うん。なんか、ごめんね、知らんけど』ぐらいには思っている。
責任を取るつもりはない。
責任を感じてはいない。
……が、まあ……うん……
なんか、ちょっと、気持ち的にもやもやする部分もなくはないし、処理しないと、大事なものまでなくしちゃうから、出来ることはしておこう。
――こういうフワフワした理由も下地にした上で、
今、カミノはセンエース・ヌルと対峙している。




