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30話 勘弁してけろ。


 30話 勘弁してけろ。


(……『調子に乗っているてい』のファントムトークだということは世界も理解しているようだが、しかし、ワガママムーブも、あまりしつこいと、さすがに、本気で嫌われるぞ。人間失格の覚醒で、普通に性格が悪くなっているのは分かるが、しかし、そろそろ、病的な高潔の方の自制心を魅せろ)


(世界に対してゴマをする気はない。世界の方が俺に合わせるべきだ。そっちが道理だろ。俺は王なんだから。王は偉いんだって、昔のエロい人も言ってた)


(決して間違ったことは言っていない。しかし、『親しき中にも礼儀あり』の精神こそが命を全うする上での当然のマナー。最低限度のラインを超えてしまえば、それは、ワガママですらない。排除されるべき迷惑な害悪行為だ。公害と言ってもいい)


(……ち)


(あえてたとえるなら、アホの暴走族が、無意味に、ブンブンブンブン、エンジン音をふかしているのと同じだな)


(そこまでダセェたとえをだされると、さすがに自重せざるをえないな……あそこまで堕ちたら、本当に終わりだ)


 などと、心の中で、ヨグと話し合っているセン。


 そんな彼を視界に収めたナグモは、


「ちょ、ちょっと……あの……これ、どういう状況? ワケのわからないコトを叫んでないで……教えてくれると……ありがたいんだけど……」


 と、オロオロしながら、質問をなげかけてくる。

 そんな彼女にセンは、


(……しんどいなぁ……休ませてくれよ……)


 と、心の中で、舌打ちしつつも、


「何をどこまで覚えている? それによって説明の内容が変わる」


「え、えっと……何も……覚えて……今日、普通に学校で過ごして……それで……えっと……あれ? それ以降のこと、全然覚えてない……」


「俺に自己紹介した記憶は? あるかないかだけで答えろ」


「……え……ない……はじめまして……だよね?」


(夜の出来事は全部、吹っ飛んでいる感じか。つまり、グールに襲われた記憶も死んだってこと。……正直、その方が、こっちとしては説明が楽だな)


 と、心の中でぶつぶつ言ってから、

 センは、彼女の目をジっと見つめて、


「お前の状況なんか知らん。俺は、夜の学校で『窓ガラスを割りながら花火でもしよう』と、パリピなノリで忍び込んだだけだ。そこで、寝ているお前を見つけただけ。それ以上でも、それ以下でもない」


「……あなたが、めちゃくちゃしんどそうにしているのは? なんで、そんな、死にそうなの?」


「俺は夜型ではなく、朝型の人間だから。朝型の人間が夜遊びするもんじゃないな。急激な眠気を前にしてなすすべもなし。まあ、そういうことだ。説明、終わり。もう俺に話しかけてくるな。すこし、寝る」


 そう言って目を閉じるセン。


「え、ちょっと待って。ねぇ、ちょっと」


 と、体をゆすってくるナグモに、

 センは、


「……勘弁してけろ……もう、ほんと、疲れてんだ……いいかげん、休ませてやってくれ、この可哀そうな俺を……なんだか、とっても眠いんだ」


 と、弱音をはくことしか出来なかった。

 が、そんなセンに、ナグモは、


「ちょっと、ほんと、マジで意味がまったくわかんない。え、私、これ、どうしたらいいの?」


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