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14話 メルトゼウス、召喚。


 14話 メルトゼウス、召喚。


 ファントムスターズに所属しているメンバーは、全員、『非常に高い存在値』を誇っているが、裏金庫の警備チームと、真正面からかち合えば、さすがに分が悪い。


「お前らは、全員、貴重な人材だ。この腐った世界で、それでも、真正面から倫理と向き合おうとした稀有なバカ共。そういう『質のいいアホんだら』を失うのは、俺的にNG。というわけで……」


 そこで、センは、

 空間にジオメトリを描いて、


「――メルトゼウス、召喚」


 強大な力を持つ神獣を呼び出すと、

 その神獣に対し、命令をくだす。


「メルトゼウス、カジノの警備をしている連中を相手に、できるだけ派手な形で暴れろ。裏カジノの警備を任されている連中は、『為政者とつるんで甘い汁を吸っているクズ』が大半だ。『道を間違えた』ということを痛感させてやるため、できるだけ『高濃度の恐怖』をまき散らしながら、ボコボコにしていけ。あくまでも、恐怖をあたえることが目的で、破壊や殺戮は目的ではない。理解したか? じゃあ、あとは自分の裁量で、好きに舞え。信頼しているぞ」


 命令を出すと、メルトゼウスは、さっそく行動を開始する。


 メルトゼウスは、『擬態』と『分身』を得意としている、『知性』が高い、変則タイプの召喚獣。

 ありとあらゆる形態に擬態することが可能で、命令に則した臨機応変な行動も可能――と、なかなか便利な召喚獣。

 ただ、戦闘力や最大出力の点では、じゃっかん、ものたりないので、

 高次の殺し合いにおいて前線で活躍するタイプの召喚獣ではない。


 そこで、センは、ファントムスターズに対し、


「今回の作戦を発表する。ミッション内容は、いたって単純。1、ファントムスターズが、予定通りに金庫をやぶり、金を奪う。2、その援護&攪乱として、メルトゼウスを暴れさせる。3、『カティに擬態したメルトゼウスの分身』が、『化け物に擬態したメルトゼウスの分身』をたたきつぶし、事態をおさめる。ガットネロの評価爆上がりからの、勲章ごちそうさま。以上だ。非常にシンプルで美しい作戦だと思わないかね?」


 そこで、マリスが、


「……なぜ、わざわざ、レミングウェイ・カティ・デステニィを矢面にたたせるのですか? その役目は、ヒーローであるあなた様がすべきでは?」


「俺は陰の実力者だ。表に立つのはカティ。俺は、裏から、すべてを支配する」


「なぜ、わざわざ、そのような――」


「俺は孤高を愛しているから」


「……」


 何を言っているのか分からないという顔をしているマリス。

 センはおかまいなしに、話を進めていく。



「それでは、オペレーションファントムゼウスを開始するとしよう。各員の活躍に期待する」






 ★






 ――大帝国が誇る『10つ星冒険者チーム』の一つ、

 五人組パーティ『覇剣』のリーダーを務めているギャンバルは、

 その日も、いつも通り、ダラダラとサボっていた。


 イカサマの監視などは、保安チームが行っており、

 もし、発見した場合は、カジノの正規スタッフが出向く。


 覇剣の役目は、『武装した強盗』が襲い掛かってきた時に対処することだが、この中央カジノの警備体制が世界一であることは、誰でも知っている常識なので、襲われることなど、ほぼありえない。


 となると、覇剣は、やることがない。

 だから、毎日、こうしてダラダラと一日を過ごしている。

 『それでも金がもらえるのだからボロい仕事だ』と笑いながら。


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― 新着の感想 ―
メルトゼウスの召喚シーン、痺れました! センが孤高の美学を貫く姿と、 マリスの純粋な疑問との対比が面白いです。
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