表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
807/1228

23話 ワガママを押し通すという穢れ。


 23話 ワガママを押し通すという穢れ。


「覚悟って言葉は、もっと重たいんだよ。おためごかしや、使い勝手のいい装飾品として使うのは命に対する冒涜だ」


「貴様がそれを言うのか。中身のない大言壮語しか吐かない、からっぽのウソつきが」


「だからこそ叫べるんだよ。『ワクの中に納まっている正直者』じゃあ通せない無様を……世界一みっともない厚顔無恥を……これからも、ずっと叫び続けてやる。それが俺の覚悟だ。ピエロの意地をナメんじゃねぇ」


「……はっ。一丁前の事をほざいてはいるが、実際のところ、生命力が膨大に縮小されたな。愚かな話だ。先ほどまでであれば、確かに、『究極の穢れに飲まれる危険性』こそあったものの、しかし、美しいほどに大きな輝きだった……今の貴様は、重たいだけで酷く脆い。私がその気になって異次元砲でも放てば、貴様はすぐにでも消滅してしまうだろう」


「やってみろよ。たぶん無理だから。『その気になったらどうこう』ってレベルの話をするゴミは、その気になっても何も出来ないって相場が決まっている。出来るやつは、前置きを口にする前に行動をしている」


「はっ。本当に、口だけは達者だな」


 鼻で笑ってから、壊れたナグモは異次元砲を放った。

 確実に死ぬであろう一撃。


 そんな、明確な死に対して、

 センは、右手を前につきだして、


「オメガバスティオン」


 なんだかよくわからない言葉を口にした。

 別に、その言葉じたいに意味はない。

 現象に対して、一応、名前をつけているだけ。

 そして、その現象を実行するという意志を、わかりやすく形にしているだけの話。


 ――アッサリと、霧散してしまった、壊れたナグモの異次元砲。


 それを見た壊れたナグモは、


「……っっ」


 目を見開いて驚愕する。


 ――オメガバスティオンは、実のところ、『壊れた者』の方が、成功率が高い。

 凝り固まった自意識を軸に、極限の集中力を豪速回転させないと発動しないものだから。

 正常では機能しない。

 そんな『バグ技』。


 異次元砲を消失させたセンは、


「てめぇの攻撃には、もう価値がない」


 ゴキゴキと首の骨を鳴らしつつ、


「最上位のアウターゴッドを根こそぎボコボコにしてきたこの俺が、お前みたいなカスモブごときに殺されると本気で思ったか? 主人公補正なんかなくても、テメェ程度には流石に、負けねぇよ。テメェと俺じゃあ、存在の格が違うんだ。『主人公でも届かない不可能』を鼻歌交じりにブチ殺す。それが俺のプライドじゃい」


 膨れ上がった自意識がセンエースの器を加速させる。

 もともと高かったプライドが、より鋭利になっていく。


 傲慢さに拍車をかけて、

 センエースは、ワガママを宣言する。

 別に意味はないけれど、天を仰ぎ、

 特に意味はないけれど、片手を空に向けて、


「感じるぞ、ヨグ……さっさと帰ってこい。疲れているかどうかなんざ知らん。難しいかどうかも聞いてねぇ。とっとと、俺の手の中に戻れ。これは俺の命令だ。舞い散る閃光センエース様の命令をシカトするなんざ許さねぇ」


 傲慢さをおしつけられて、

 『アウターゴッドの王様』は、




「……やれやれ、なんと厄介な神様か」




 ――『ここではないどこか』から、這い出てきて、


「呆れるほど自己中心的で嘘つきで根暗で高圧的な、最低な神様。けれど、まあ、そのぐらいでなければ、守れないものもあるだろう」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ