表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
800/1228

16話 金、金、金だ! 俺は金がほしいんだよ!


 16話 金、金、金だ! 俺は金がほしいんだよ!


「俺を壊したかったら、アウターゴッドの群れをつれてこい。『夏場に放置した生魚』に沸いたウジぐらいたくさんの『大量のアウターゴッド』に襲われれば、流石の俺も、死にかけるかもな。ま、それでも、ギリ、死にはしないと思うが。銀河を埋め尽くす数のアウターゴッドに、異次元砲の弾幕を張られても、俺は、なんだかんだで、生きているだろう。それが俺クオリティってやつだ。すごいな、俺。どうなってんだ?」


 ファントムトークがとまらない。

 そんなセンに、


「もうほとんど死にかけているくせに、何言ってんだ、カスがぁあ!」


 色違いナグモの猛攻が加速する。

 もうちょっとで削り切れる。

 ――そう確信を得てから、いったい、どれだけの時間が経過しただろう。

 どれだけの攻撃をあびせても、センエースは、なかなか終わってくれない。


 どれだけボコボコにしても、反抗的な目で色違いナグモをにらみつけているだけ。

 そんな、非生産的な時間が、10分を超えたところで、


「異常!! 貴様、おかしい! 世界がおかしい! これは、やはり夢か?! 最悪の悪夢か?!」


 時間の経過で、

 色違いナグモの肉体は、かなりボロボロに崩れていた。

 根幹を奪われているので、自分の肉体を保つことが難しい。


 そんな状態の色違いナグモを見つめながら、

 センは、


「……『どくどく』をいれて、『まもる』を連打していればいいだけの簡単なお仕事……てめぇじゃ、俺の相手は役者不足極まりないな」


「ぐぬぅ……くそがぁ……」


 そこで、ついに、色違いナグモがフラっとよろめく。

 色違いナグモの終わりが近づいている。


「はぁ……はぁ……く、くそ……こぼれていく……せっかく……せっかく手に入れた極上の贄が……なんで、こんな……く、くそぉ……貴様さえいなければ……貴様さえ……」


 全力で恨みを口にする色違いナグモに、

 センは、


「そのセリフ、よく言われるよ。正直、俺自身ですら、『そのセリフ』を『俺に対して思うレベル』だから。俺さえいなければ、俺も、こんなに苦労することなくて楽なんだけどねぇ……え? ちょっと何言っているかわからないって? 気にするな。俺もそうだから」


 狂気のファントムトークで世界をケムにまく。

 そうやって積み上げた砂上の楼閣。

 そんな脆くて拙い土台の上に、

 センエースは立っている。


「まあ、とにもかくにも、確実に、一個だけ言えることがある。俺がここにいるのに、ナグモナオを奪い取れるなんて勘違いしちゃいけねぇってこと」


 そんなセンに、色違いのナグモは問いかける。


「……なぜ、この女の器を……必死になって守る? そんなに、この女が大事か? 私にとっては重要な贄だが、貴様の視点では特に価値があるものではないだろう」


「まあ、確かにタイプじゃないな。俺の趣味は、『頭がおかしくない傾国のヤマトナデシコ』だから。こいつじゃ、役者が不足している。俺の理想の高さをナメちゃいけない」


「もしかして、この女は資産家の娘なのか? 守り切ることで、なにか、莫大な財産を得ることができるとか? それなら納得できる部分もなくはない。人間とは、金を求めてさまようブタだから」


「……ははは」


 センは、一度笑ってから、


「ああ、てめぇの言っていることは、何も間違ってねぇ。化け物のくせに、人間のことをよぉく理解している。人間ってのは、文字通り、現金なもの……特に欲望丸出しの男は分かりやすくてなぁ。でかい家! いい車! うまい酒! それら全部、金さえあれば手に入る! 極上の女も、金さえあれば手に入る! 俺みたいな『男としての偏差値が平均を切っているようなカス』でも、金さえあれば、何でも思うがままだ! すばらしいねぇ! 自由主義、万歳!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ