表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/1228

13話 神の後光を巧みに利用した勧誘。


 13話 神の後光を巧みに利用した勧誘。


「――神化――」


 センが、そう唱えた直後、

 マリスの視界が、暖かい光に包まれた。



「っっっっっっ???!!!」



 おそろしく深い輝き。

 マリスの想像をはるかに超えた領域にある暖かさ。



「……ぁ……あ……」



「――『人の醜さ』は、生まれた時から知っていた。親が二人ともゴミだったからな。その下積みの上に、40億年以上の『永き』を積んできた。『命の答え』は、いまだ見えないが、ハッキリしていることは一つだけある」


 そう言いながら、

 センは、マリスの目をジっと見つめて、


「お前は美しいよ、マリス」


「……っ」


「これまで、よく頑張ってきたな。己の信念を貫くために、お前が成してきたことに対し、俺は、心の底から敬意を表する」


 そこで、センは、マリスに向かって、手を差し出して、


「俺と共にこい。そうすれば、お前が『望む先』を魅せてやる」


「私が望む……先……」


「もう二度と迷わなくていい。お前の道標は、ここにいる」


「……」


 なぜかは分からないが、

 マリスは、涙を流した。

 理解できない衝動。


 何に震えているのか理解できない。

 ただ、心がプルプルと痙攣していることだけは理解できた。

 息ができないほど苦しくて、

 けれど、辛くはなかった。


「あなたは……いったい……」


「俺は、舞い散る閃光センエース。……お前のヒーローだよ」


 それは、まばゆいばかりに輝いていた。

 どんな暗闇の中でも見失うことはないだろうと思った。


 だから、

 マリスは、気付けば、臣下のポーズをとっていた。

 魂が、センに対して、最大級の敬意を表していたんだ。




 ★




(よし……出来のいい配下、ゲット。神化が使えると、こういうところで便利だな。頭がいいやつ相手だと、無駄に言葉を並べなくとも、一発で勝手に誤解してもらえる。あとはマリスをリーダーにした秘密結社を結成するだけ。それで、条件達成だ。あとは、金と童貞と勲章……童貞は、まあ、うん、いつでもアレだから……その気になれば、一瞬でアレだから……うん。だから、むしろ、あとでいい)


 心の中で、ぶつぶつと、ダサいことをつぶやくセン。

 先ほど、マリスに魅せた神々しい姿とは全く違う、みっともないザマ。


(まずは、金と勲章をもらうことにしよう。そのために、カジノには犠牲になってもらおう。犠牲の犠牲にな)


 『ゲスい顔』でほくそ笑み、

 センは、作戦を実行にうつす。


「マリス。とりあえず、お前の『金庫を破る作戦』は完璧だ。それはそのままでいい。問題なのは、どこか一つでもミスったら、メンバーの誰かが死んでしまうこと」


 裏金庫は、各国の為政者の隠し財産が集約されているため、警備が、おそろしく厳重。

 配備されているのは、大帝国が誇る『最高峰の冒険者チーム』である『覇剣』。

 その覇剣を、『大帝国の上位貴族だけで構成された保安チーム』が指揮するという盤石の体制。


 ファントムスターズに所属しているメンバーは、全員、『非常に高い存在値』を誇っているが、裏金庫の警備チームと、真正面からかち合えば、さすがに分が悪い。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
神々しい表の顔の直後に、 ゲスい独白が入る構造も最高に好きです!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ