7話 生贄適正。
7話 生贄適正。
「お前、人間か? それとも、人間に化けた神話生物か? どっちだ。正直に答えた方がみのためだ。俺だけは、敵に回さない方がいい。俺はヤバい。すべてにおいて、とにかく、ヤバすぎる。世界一頭のおかしい姉弟と知り合いだし、宇宙一のヤクザや銀河一の天才と幼馴染だし、世界最高峰のスペックを誇る部下が1億人以上いる。だから、おとなしく質問に対して、正確に答えろ。お前はどっちだ、俺の敵か、それ以外か」
慎重に、ビビり散らかしながら、対話を求め続けた結果、
相手が、南雲奈桜という名前の、ただの女子高生であり、
いつのまにか学校で寝落ちしてしまっただけの、
うっかり寝坊助さんであることが判明した。
「……南雲奈桜……ねぇ……」
と、彼女の名前を反芻するセン。
そんなセンに、彼女は、
「え、私の名前、なにかおかしい?」
「いや、別に」
そう言いながら、センは、夢での出来事を思い出す。
(夢の中だと、確か、こいつ……『生贄適正がある』って感じだった気がする……)
正直、興味のない相手だったし、関わり合いも深くはなかったので、かなりうろ覚え。
(もし、夢の中の設定が、この世界で適用されるとしたら……こいつは、けっこうな生贄適正をもっているということになる……そんなやつが、この時間まで寝オチ……ただの偶然で処理する方が難しい、極めて厄介そうな繋がりをビンビン感じる……これは……ここから、ナグモを使って、上位GOOを召喚しようとする奉仕種族が登場するパターンじゃねぇか?)
などと、最悪の未来を想定していると、
そこで、
「ギギギッ」
と、奇怪な鳴き声をあげながら多目的室に入ってくる怪しい影が一つ。
「え、な、何? 何あれ?! キモっ!」
と、ナグモが、普通の女子高生としての、当然の反応をみせた。
そんな彼女を尻目に、センは、
「あまりにも予想通りすぎる展開だな。そんな安易なシナリオじゃ、視聴者の度肝を抜くことはできねぇぜ」
などと、脳死脊髄反射の中身ゼロ発言を口にしながら、ゴキゴキっと首を鳴らす。
視線の先にいるのは、色違いのグール。
先日、田中シャインピースによって頭を砕かれたグールよりも色が深い。
センは、
「とりあえず、殺すから。黙って死んでくれよ、頼むから」
そう言いながら、家からもってきていた出刃包丁を抜くセン。
刃渡り10センチほどで、出刃としては比較的小さい方。
ちなみに、『刃物を夜中にむき出しで持ち歩く』というわけにはいかなかったので、インナーの腹部に、ガムテで巻いておいた。
職質されたらヤバかった。
一巻の終わりだった。
すでに終わり散らかしている人生が、さらにもう一段階終わってしまうところだった。
「汚物は消毒だぁああああ! グレートオールドワンにも一撃かますことができた俺の一閃に耐えられる奉仕種族など存在しなぁああああい!! 存在してはいけなぁああああい!」
などと叫びながら、センは、問答無用でグールに切りかかった。
そんなセンの特攻を、
色違いグールは、まるで出来のいいサイバイ〇ンのような俊敏さでヒュっと回避して、
「ギャギャギャ!」
センに対して、なかなか華麗なカウンターをかましてきた。
「っ?! ぶげへぇっ!」
よけきれず、腕にそこそこのダメージを負うセン。
「ぐっ……なんだぁ、てめぇ? グールの分際で、なんか、妙に動きがキレてねぇか?」
腕の痛みに耐えながら、センは、一旦、グールから、距離を取り、
「つぅか……俺の一閃……ゴミに戻ってね? ……なんでだ……」




