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12話 でかい家! いい女! うまい酒!


 12話 でかい家! いい女! うまい酒!


「ついに今夜だ。私たちは、今日、中央カジノの裏金庫を奪う」


 ファントムスターズのリーダー、『マリス』は、チームメンバーの面々に、そう声をかけた。


「まずは――」


 と、さっそく、作戦の概要を説明しようとしたところで、




「……ずいぶんと、楽しそうな話をしているじゃないか。俺も混ぜてくれよ」




 背後から声をかけられて、

 ファントムスターズの面々は、一斉に、警戒態勢をとった。


(っっ……わ、私に気配を気づかせないで接近するとは……2~3歳ぐらいのガキにしか見えないが、間違いなくタダ者じゃない……)


 センのヤバさを肌身で感じ取ったマリスは、即座に、


「最大級警戒態勢!」


 チームメンバーにオーダーを発令。


 どうにか、この危機的状況を打破しようと、

 必死になって行動を起こす。


 しかし、無駄無駄無駄無駄無駄ァ!


「心配するな。お前らが何をしても、俺には勝てないから」


 そう言いながら、センは、

 サラリと、なでるように、

 マリスの背後をとって、

 マリスの首元に、まがまがしいナイフをつきつけながら、


「お前らファントムスターズだよな? ちょっとだけ知っているよ。確か、ウチのクソバカ親父にも、お前らの暗殺依頼がきていたはずだ。『割に合わないから受けない』と言っていたのが印象的だった。バースディがひるむ相手はそういない。『盗賊ごときになにビビってんのか』と、当時は不思議に思っていたが……まさか、トップが、普通に、バースディを超えているとは思わなかった」


「……バースディ……カルマ家の当主の名前……まさか、お前……フェイトファミリーか」


「元フェイトファミリー。今は、1つ星の冒険者をやっている」


「ひとつぼし……? それだけの実力があって……?」


「誰だって最初は1つ星だろ? つまり、これが、俺の、冒険者としての初仕事ってわけさ」


「……」


「どうする? 俺の出世を助ける踏み台になるか? それとも、別の道を選択するか?」


「……別の道を選択することも……できるのか?」


「俺、金が欲しいんだよね。で、お前らは、金を盗むプロだろ? 今後は、俺のために金を集める専属盗賊集団に生まれ変われ。その条件をのむのであれば、殺さずに利用してやるよ」


「……金を集めて、どうするんだ?」


「はぁ? どうするもクソもねぇだろ。世の中、金だ。金さえあれば、なんでも手に入るからな。でかい家、いい女、うまい酒!」


「……」


「で、どうする? 俺のサイフになるか? それとも、両足を切られて、憲兵に突き出されるか」


「答えは……『信念にしたがって、誇り高く抵抗する』!」


 そう叫ぶと、

 マリスは、自分の影に忍び込む。


 そして、影の中を超高速で駆け抜けて、

 センの背後を奪い取ろうとして、


 ――しかし、


「――悪くないぞ、マリス。俺の方が圧倒的上位者であると理解した上で、信念を選択できる、その気概と潔癖さと精神力、感嘆に値する」


 センは、マリスの想像を遥かに超える速度をもって、

 マリスの背後にピッタリとくっついていた。


 振り切ろうとしても無意味。

 まるで『勤勉な影』みたいに、

 どうあがいても、逃れることは不可能。


 センは、そこで、『静けさ』の精度を上げる。

 胸の前で両手をあわせて、厳かに、


「――神化――」


 そう唱えた直後、

 マリスの視界が、暖かい光に包まれた。



「っっっっっっ???!!!」



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― 新着の感想 ―
センの圧倒的な強さとカリスマに鳥肌が立ちました! でかい家! いい女! うまい酒!という俗っぽい動機なのに、 やってることが規格外すぎて最高です。
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