4話 SSS。
4話 SSS。
「それが事実なら、とんでもない話だな。最果てに至った貴様なら、アウターゴッドをも処理できるだろう」
「出来たらええんやけど……どうやろなぁ……」
田中は、センの記憶に触れた時、アウターゴッドに関する情報も会得している。
(……少なくとも、今のワシでは無理……ワシの中に眠っとるもんを全部たたき起こした上で、最高位ダンジョンを制覇しまくって、最高ランクのアイテムを大量確保して……それでも対抗できるかどうか微妙ってところ……)
頭の中で未来を演算する。
(……『センエースの運命』が、『センエースの夢の通り』やとしたら、おそらく、センエースの予想どおり……いつかは、アウターゴッドが召喚されてまう……『その時のための準備』は確実にしとかんとなぁ……)
そこで、田中は、ため息をつく。
(センが目覚めてくれたら、色々と楽でええんやけど……なんか、今の調子やと、あいつを目覚めさせるんは、だいぶ厳しそうやなぁ……)
センエースが覚醒してくれない以上、自分がどうにかするしかない。
そんな重たい責任感を背負っている田中。
あまりにも重量がエグい荷物に辟易。
(しかし、ほんまにヤバい敵が出てきた時は、あいつの戦闘力が絶対に必要。ワシの中にあるもんを目覚めさせるだけやなく、あいつを目覚めさせる方法も、一緒に探さんとな……やることおおいなぁ……頭、痛ぁなってきた……はぁ……)
ため息が止まらない。
そうこうしている間にも、なんだかんだ、サクサクと『無理級ダンジョン』を攻略していく田中。
それなりに時間はかかったが、結局のところ、ケガ人の一人も出すことなく、『田中率いる神話生物研究会』は、無理級ダンジョンを攻略してしまった。
最奥の『階段の上』には『豪華な装飾の宝箱』が一つ。
代表して、田中が、その宝箱を開けた。
中には、
「……携帯ドラゴン用の強化チップか……ランクは、SSS……さすが、無理級のダンジョンで入手できるアイテムは格が違ったな」
SSSランクの強化チップは、なかなか入手することが出来ない。
確率で言えば、1%を大幅に下回っている。
とてつもなく希少なアイテムであるため、本来であれば、誰の携帯ドラゴンに食べさせるか、神話生物研究会のメンバーだけではなく、神話生物対策委員会の老害どもも含めて、かなりデカめの会議が行われるのだが……しかし、現状では、悩む時間は皆無だった。
全会一致で、『田中の携帯ドラゴンに食べさせるべきである』という結論に達した。
田中自身、自分のエルメスに食べさせるべきだろうと思っていたので、変に遠慮することもなく、その結論を受け入れ、エルメスに、SSSランクの強化チップを食べさせた。
この強化チップを捕食することによって得られる恩恵。
それは――
「ん?」
と、そこで、
神話生物研究会のメインサポーターであるヒッキが、
何かを感じ取ったらしく、
「外に設置しておいたセンサーに反応あり。強大な力をもったGOOが湧いた……」
そのつぶやきを耳にしたカンツが、
「またか。二夜連続で、上位GOOが湧くとは珍しい……」
その情報を得た田中は、
「ちょうどええ……今手に入れたアイテムの効果を、ためさせてもらおか」
「……ぁ」
「どしたん、ヒッキ」
「センが、また学校にきている……そして、さっき言ったGOOに殺されかけている……」
「……」
その言葉を黙って聞いていた田中の横で、
カンツが、渋い顔で、
「な、何を考えとるんだ、あいつは……」
と、呆れまじりにタメ息をついた。




