3話 新しい主人公田中。ここからは、泥臭いセンエース神話ではなく、華麗なる田中の無双劇!
3話 新しい主人公田中。ここからは、泥臭いセンエース神話ではなく、華麗なる田中の無双劇!
異常体力組は、田中の盾になるためのシステムを構築し、サポート組は、田中のスペックを底上げするためのビルドを磨く。
それを徹底したことで、神話生物研究会は、これまでは踏破不可能だった超難易度のダンジョンもクリアできるようになった。
これまで、神話生物研究会は、『A級(ほぼ確実に、誰かが死ぬ)』以上の難易度に挑むことはなかった。
ダンジョンの中には、『火力だけで言えばウムル級の狂ったワナ』や、『バイタリティだけで言えばウムル級のガーディアン』などがゴロゴロいる。
最奥に隠されている宝を守るために、ダンジョンは、ありとあらゆる手を使い、全力で、研究会のメンバーを殺しにかかってくる。
ちなみに『S級(難易度、無理)』は、あえて例えるなら『ウムル100体を相手にする』みたいな地獄の苦難。
だから、これまでは、『無理級』だと分かった時点で攻略を諦めていた。
カンツという支柱がいても、流石に『100ウムル』は無理。
――だが、今回は違った。
なぜなら、絶対的『ジョーカー(切り札)』がいるから。
「……なるほど……この難易度はエグいな……」
現在、神話生物研究会は、『無理級のダンジョン』に挑んでいた。
しょっぱなから、ジャブとして、『えげつない難易度の暗号を解けなければ、全員死んでしまうワナが発動』という地獄の挨拶をかまされた。
つい数日前までの田中であれば、どうあがいても解けない難易度だったのだが、ウムルや特待生と戦ったことで、何かコツを掴んだ田中の『冴えわたる頭脳』は、えぐい暗号と真正面から向き合うことができた。
結果、どうにか、ジャブのワナを回避。
そのまま次のステージに進むと、今度は、えげつないパワーを誇るガーディアンが山ほど出てきた。
どいつもこいつも、上位のGOO級というとんでもない強さ。
しかし、目覚め始めた田中の前では、良質な経験値にしかならなかった。
特待生メンバーは、全力で、田中をサポートしているが、
見ている限り、おそらくだが、田中一人でも攻略できそう。
もちろん、普通に苦戦はしているものの、しかし、
死人を一人も出さずに、無理級を攻略していく田中の背中に、
カンツが震えながら声をかける。
「素晴らしいぞ、田中。貴様の価値は、ここにいる25人全員を足しても足りない次元にある」
カンツの言葉に異を唱える者はいない。
もし、その言葉を投げかけた対象が田中でなければ、ダリィあたりが『それは、さすがにいいすぎだろう!』とでも声をあげたかもしれないが、しかし、さすがの瞬間湯沸かし器ダリィさんでも、相手が田中では、押し黙るほかなかった。
カンツの言葉に、田中は、
「価値の量とか、どうでもええけど……」
ボソっとそう言ってから、
「とりあえず、今のワシは、まだまだツボミ……ここから、もっと、もっと、大きくなっていく……はず」
「それが事実なら、とんでもない話だな。最果てに至った貴様なら、アウターゴッドをも処理できるだろう」
「出来たらええんやけど……どうやろなぁ……」
田中は、センの記憶に触れた時、
アウターゴッドに関する情報も会得している。




