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86話 田中シャインピースの目覚めが止まらない。


 86話 田中シャインピースの目覚めが止まらない。


 アクバートを楽勝で下した田中は、

 その後も、エゲつない快進撃を続けていく。


 特待生たちの誰との、どんな勝負であっても、

 田中は、『楽勝』を維持し続けた。

 あまりに破格すぎる彼のスペックに、

 シャインピースガールズたちは限界を超えて心酔していく。


 一般人だけではなく、特待生たちも、

 『田中がマジでハンパではない』と慄き始めていた。


 カンツでも勝てなかったウムルを単騎で殺した男なのだから、そりゃ、エグくて当然なのだが、しかし、同等のステージでタイマンを張ったことで、より、田中の異次元ぶりが理解できた。

 マジで、次元が違った。

 あまりにも凄すぎる。


 次第に、田中の凄みが増していく。

 特待生たちと、様々な勝負をしていくうちに、

 田中は、何か『キッカケ』を掴んだらしい。

 どのタイミングで何を掴んだのか――それを、周囲の人間が理解し表現することは不可能。

 当人ですら、どこの何がきっかけになったのか言語化するのはなかなか難しい様子。


 とにもかくにも、田中は、一つ、キッカケ――コツのような何かを掴んだらしく、そこから先の田中は、もはや、特待生たちと勝負をするという次元ではなくなっていた。


 特待生全員に対して、田中は、教導を与えていた。

 恐ろしいほど『遥かなる高み』からの指導手。

 まるで、すべての命を導く光のように、

 田中の教導は『新しい気づき』に満ち溢れていた。


 田中の指導手によって、特待生たちは、どんどん磨かれていく。

 中には、覚醒する者もいた。

 くすぶっていた種が発芽して、新たな次元に到る。


 大いなる指導者が切り開いた道に続く特待生たち。

 そんな『特待生たちの輝き』は、田中に『新たな気付き』をくれる。

 そうやって、お互いがお互いの覚醒を支え合う。


 田中はどんどん膨らんでいった。

 この時点で、すでに、とんでもない高みに達しているのだが、

 しかし、まだまだ!

 ――彼の『本当の天才性』は閉じ込められたままである。

 まだまだツボミ。

 咲きかけているだけで、まだ咲いてはいないのだ。


 田中は、自分の才能に震え始める。

 まさか、自分に、ここまでの可能性があったとは、夢にも思っていなかった。

 どんどん開花していく自分と向き合う中で、

 田中は、


「……これでまだツボミか……全部目覚めたら、どうなるんやろうか……」


 己の未来を想う。

 少し恐怖も感じたが、しかし、それ以上に、知的好奇心が刺激された。


 田中は止まらない。

 もっと、もっと、先へ。

 もっと、もっと、前へ。

 もっと、もっと、奥へ。


 とどまり方を忘れた化け物は、貪欲に、上へ、上へと、無限の階段を駆け上がり続ける。


 その様を、

 センは、遥か後方から見つめていた。


 完全に置き去りにされたセンの中には、

 呆れと、怒りと、そして、虚無感が募っていた。


「……気に入らない野郎だ……」


 素直な感想がこぼれ出る。

 心の底から感じる、田中に対する忌避の感情。

 これは、もはや、嫉妬とかいう次元ではなかった。


 この感情を正式に文章化する術はあるのだろうか、

 なんて、そんなことを考えるセン。

 考えても無駄だということは理解できているのだが、

 しかし、それでも、『無駄に考えること』をやめられないという、

 厄介な人間の弱さの中でもだえ苦しむ。


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