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78話 カンツからは逃げられない。


 78話 カンツからは逃げられない。


(……カンツは、いつだって、『ヒーロー』を追い求めている。『理想のヒーローが世界を照らす日』を夢見て邁進している。カンツは諦めない。『理想のヒーローが存在しないなら、自分がなってやる』という覚悟を胸に抱いている暴走機関車。その意識の暴走機関車っぷりが、『自分自身カンツ』に向いているうちは、ただ狂気的に努力を続けるだけのゴリラだが、理想のヒーローになりそうなやつを見つけた場合、猪突猛進で、『そいつ』を、より理想的なヒーローへと叩き上げようとする……)



 これまでの『経験』から『カンツの鬱陶しさ』を理解しているセンは、

 そこで、カンツにダル絡みさられている田中をチラ見しつつ、

 心の中で、さらに、つぶやく。


(……田中の大活躍を魅せつけられるのは、心底しんどいものがあるが……しかし、『キングボンビー(担ぎ上げられるポジション)』を、あいつに押し付けることができたのは……正直、僥倖ぎょうこうだな……)


 『田中の天才性』に対する嫉妬は、

 『世の理不尽に対する怒り』をわめき散らかしたことで、

 とりあえず、今のところは、いったん、おさまっている。


 感情の暴走期を抜けて、いったん、冷静に世界を見渡したところ、

 悪くない感じに……というか、ほとんど理想と言ってもいい具合に、

 世界の運命が、適切にまわりはじめているなぁ、と感じるセン。


(表の面倒事は、田中に全部丸投げして、俺は、裏で爪をとぎ、厄介なことが起こった時だけ、裏からサポートする、影の実力者ポジに徹する……いいじゃない。理想的じゃないの)


 頭の中で皮算用が止まらない。


(第二アルファに戻る方法を探しつつ、うまいこと、田中の『俺なんかとは比べものにならんぐらい優秀な支配者っぷり』を十席連中の思想の中に植え付けていく……そして、見事、元の世界に戻れた暁には、その経験を軸にして、田中をゼノリカの頂点に据えるプレゼンをかます……田中の優秀さを知ったカンツたちは、『田中こそ、真の三国無双よ』となり、俺のポジションは、晴れて、影の実力者にシフトする……いいじゃないのっ)


 田中の大活躍を魅せつけられる現状は、正直、精神衛生的に、まったくもってよろしくない状態なのだが、しかし、未来のことを踏まえて考えると、この状況は、決して悪くないかもしれない、と、自分の心を、どうにかなだめていくセンエース。


 その間にも、田中とカンツの話し合いは、どんどん進んでいた。

 田中も、支配者になることの面倒くささは理解しているので、どうにか、そのポジションから逃げ出そうと、色々、手を打ってはいたが、しかし、猪突猛進モードになったカンツをどうにかできるわけがなく、結局のところ、


「というわけで、今後、田中が、世界の支配者となることが決定した! みんな、拍手!」


 この場にいる特待生の中にバカはいない。

 みな、田中が、いかに『ぶっ壊れているか』を理解している。

 だから、誰も、田中が頂点に立つことに文句を言わない。

 こうして、正式に、田中シャインピースは、支配者Tになりましたとさ。

 めでたし、めでたし。


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