表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/1228

10話 自由気ままに、施設の解放条件を満たそうとするセン。


 10話 自由気ままに、施設の解放条件を満たそうとするセン。


「カティ姉さんなら、余裕だよ。カティ姉さんは格が違うんだ。あ、ちなみに、俺も、サポート要員として、そこそこ腕がたつ。俺たちは、チーム。そこんところを忘れないでくれよ、ギルド長さんよぉ」


「おこぼれにあずかろうと必死か。暗部のエリートとは思えないほど、無様な姿だな。闇として闇を狩る君たちは、もっと気高いものと思っていたが」


 心底から見下した目でセンを見るギルド長。

 その目に慣れ親しんでいるセンは、特に不快に思う事もなく、

 ニパっと、快活な笑顔を浮かべて、


「俺は、暗部の中でも『最強の落ちこぼれ』なんでね。聞いたことない? センエース・カルマの話。裏では、だいぶ有名人だぜ。『どうしようもない雑魚』として」


「……雑魚の情報など記憶には残らない」


 その言葉を受けたセンは、しんなりと肩をすくめて、


「おっと、そいつは残念。……いや、俺からすれば、ありがたい話なのかなぁ。世間様に広まっている恥は少ない方がいい」


 などと、ファントムなトークで、和やかな会話を終わらせた。


 ★



 ――ここは、シューリの御用邸。

 『東の森』に『狩り』へと向かう前に、

 『センとカティの二人』は、一旦、ここへ立ち寄った。


「カティお姉たま、とりあえず、邪魔だから、ここで待機していてくれる?」


「は? 一緒に行くんじゃないの?」


「俺一人の方が、色々と動きやすいんで。そもそも、俺は、孤高。理由がなければ、チームとか組まない。というわけで、お留守番、よろしくでーす、ちーっす」


 そう言い残して、

 センは、そのまま、さっそうと出ていってしまった。


 残されたカティに、

 アダムが、


「主上様の親戚だな」


 そう声をかけた。


「え、いや……親戚……いや、まあ……」


 ファミリーに属している者は全員、『血の掟』で結ばれているため、親戚といっても問題は何もない。

 センとカティに血縁関係はないし、

 もう、ファミリーとは縁を切っているので、

 『掟系の関係性』は完全に断たれているわけだが、

 しかし、二人が、元ファミリーだったことは消せない事実。


「話は聞いている。こっちにこい」


 上から目線でそう言われて、

 カティは、普通にムっとした。


「あなた、誰? 王族? 見た事ない顔だけど」


 アダムの絢爛さから、『高貴な血統だろう』と推測したカティ。

 そんな彼女に、アダムは、胸を張って、


「私は、この上なく尊き命の王である主上様の側仕えだ」


「……その主上様って、もしかして、センのこと?」


「ほかに誰がいる?」


「……」


「一つ聞きたいんだけど……センの、あの異常な力はなに? 具体的には分からないけど……本能が警告してくるレベルの、あのとんでもない威圧感は……」


「……何も聞いていないのか?」


「変な冗談で、はぐらかされるのよ。10億年がどうとか、500兆がどうとか、頭の悪い話でごまかすばかりで、本当のことは、なにも教えてくれなかった」


「……」


「たぶん、もう、全部、聞いているっぽいでちゅね」


 奥から出てきたシューリが、アクビまじりにそう言った。


「……シューリ……殿下……」


「センのイカれ方を、口で言ったって分からないと思いまちゅから、一週間、一緒に、観察しまちょう。そうすれば、一発でわかりまちゅよ。あんたの親戚がどういう男か」


「……」



 ★



 瞬間移動で『東の森』まで、ひとっ飛びしたセンは、

 索敵系の魔法を使って、森全体をサーチし、

 『野盗どもが、どこに隠れているか』を、

 秒で調べ上げると、


「一番強いのが……存在値362。おいおい、バースディ・カルマより強いじゃねぇか。そんだけ強いのに、なんで、盗賊なんかになるかね」


 『たぶん、生まれつき、そういう生き方しか出来ないのだろう』、

 ――と、勝手に推測して、


「……362は最後にとっておくとして……まずは、一番近くにいる盗賊団から片付けていこうか……えっと……存在値200がアタマ張っている盗賊団が右、存在値190がアタマはっている盗賊団が左……ど・ち・ら・か・ら・に・し・よ・う・か・な、か・み・さ・ま・の・い・う・と・お・り…………神様は右とおっしゃっている……じゃあ、左にいこうか」


 などと、つぶやいてから、

 センは、ターゲットの元へと駆け抜けた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
最強の落ちこぼれというセンの二つ名、最高に痺れます! ギルド長を見下ろす余裕すらある姿勢が本当にかっこいい!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ