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71話 田中という異常と、センエースという異常。方向性の違う異常が重なり合った時、世界は、自由になる……のか?


 71話 田中という異常と、センエースという異常。方向性の違う異常が重なり合った時、世界は、自由になる……のか?


(魔力とオーラは、ブースターにすぎん……足し算ではなく、掛け算としての役割を果たしてくれるんは、ごっつありがたいし、ほぼチートやと思うけど、『元』の数値が0や1やったら、なんぼかけてもたいした数字にはならん。武の基礎を徹底して、根本のエネルギー伝導率を上げていかんと、内包しとる魔力やオーラがなんぼ秀逸でも、大きなダメージにはなりえん)


 田中は、武を理解しはじめる。

 短時間で、解析を終わらせる。

 信じられない速度で『根源の理解』に辿り着く田中。

 異常な天才性。

 アホのセンエースとは格が違う。


 ――だが、だからといって、最強になれるかというと、もちろんそうではない。

 今のままでは、文字通り、机上の空論。


(……研鑽が必須……『己の肉体』に『武』を『叩き込む時間』が絶対にいる……)


 そこで、田中は、チラっと、センに視線を送った。

 呑気に『背景モブ』をしているセンを尻目に、


(……ひたすらに己の肉体と向き合い続けた結晶……『根源の武』を突き詰めた果て……『ソレ』は、ワシの中にあってこそ、最大級の輝きを放てる宝石……いや、ワシの中ではなく、あいつの中にワシがおればええんか……正直、『気が遠くなる時間を地味な基礎トレに費やす』とか、普通に絶対イヤやし……そんなもん時間の無駄。やりたいやつにやらせておけばええ単純作業)



 『己の肉体と向き合い続ける』というのは、言葉にすればたやすいが、しかし、実際に実践できる者はそうそういない。

 地味で退屈でしんどいだけの基礎トレを無限に繰り返し続ける覚悟、

 その果てにしか、武の高みは存在しない。


 『概念を理解するという登山』を『宇宙エレベーター』にできる田中だが、『武の階段』だけは、どれだけの天才性があったとしてもエスカレーターにすら出来ない。


(……『センエース(武の結晶)』の中でワシをCPUとして機能させる方法を考えるのが、一番、てっとりばやそう。ただ、『合体』すると、根源の武が低下して、本末転倒……)


 そこで、田中は、センの中で見た記憶の一部を思いだす。


(共鳴融合……合体のデメリットである『戦闘力の低下』を殺すことができるスペシャル……そいつを、バグかなんかで、ワシの中に刻み込むことができたら……)


 皮算用が止まらない。

 その間も、田中は、ウムルにボコボコにされている。

 何度も、何度も、重たい拳をたたきつけられているが、

 しかし、田中のドリームオーラは、その全てを、完璧に受け止めきっている。


「ふざけるな、くそがぁああああああ!」


 ウムルの怒りが有頂天に達する。

 この怒りはしばらくおさまることを知らない。

 それも当然の話。

 必死になって殴っているのに、相手はうわの空で、何かを考え込んでいるのだ。

 こんな屈辱的なことはない。

 田中は、ウムルを見ていない。

 いや、見てはいる。

 武の手本の一つにしようと観察はしている。

 しかし、それは、敵として認識しているのではなく、

 『実験動物の観察』でしかない。


 『ああ、なるほど。こう動くといいのか。勉強になるなぁ』


 それ以上でも、それ以下でもない視点。



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