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56話 心の中のカンツ。


 56話 心の中のカンツ。


「キチ〇イゴリラぁ……貴様は、そこそこ強い。悪くないレベルだ。それだけの強さに到るためには、果て無き研鑽が不可欠だったはず。その無駄な労力に、最低限の敬意を表し……私の本気を見せてやる。刮目するがいい。これが、グレートオールドワンの最果て。アウターゴッドに最も近い神格の力だ」


 まだ、むくむくと膨れ上がっていく。

 その尋常ならざる力を目の当たりにして、カンツ以外の特待生たちが、全身に冷や汗を浮かばせる。



 ヒッキが、ボソっと、


「……おいおい、ほんとに? あいつ、とんでもないな……今まで見てきたGOOの中で、普通に、ぶっちぎりで最強なんだが……」


 ヒッキは、これまで、何度も神話生物を屠ってきている。

 相手が奉仕種族級ならワンパン確定だし、

 グレートオールドワンであっても、中級までなら余裕の秒で対処できる。


 そんなヒッキだが、しかし、ウムルには一ミリも勝てる気がしなかった。

 ウムルは、明らかに格が違うグレートオールドワン。


「あれ……アウターゴッド級なんじゃないかな……」


 アウターゴッドは、神格の最上位。

 グレートオールドワンですらゴミに思える高み。

 超えられない壁の向こう側。


 もし、召喚されてしまえば、確定で世界が終わってしまうという絶望の中の絶望。

 これまで、数えきれないほどの神話生物を屠ってきた神話生物対策委員会だが、アウターゴッドと出会ったことは一度もない。

 もし、これまでに、アウターゴッドが、一度でも召喚されていたら、世界は終わっていた。

 つまりは、神話生物対策委員会の最大にして根本の目的は『アウターゴッドを召喚させないこと』である。


 ヒッキのつぶやきが耳に入ったのか、

 ウムルは、


「神々は、私などよりも遥か高みにおわす方々。私は、間違いなく、グレートオールドワンの最果てにいるが、しかし、そんな私でも『絶対に届かない高み』がアウターゴッドだ。そして、私の目的の一つは、アウターゴッドを、ここに召喚することにある。わかるか、虫ケラども。貴様ら脆弱な下等種が、どれだけ必死にあがいたところで、最終的な未来は変わらない。最後の最後には、尊き神々の手によって食い尽くされるだけの、ちょっとしたおやつ。それが貴様らの『存在価値の限界』だ。それ以下になる可能性は十分にあるが、それ以上になれる可能性は一ミリもない。単なる供物の分際で、調子にのってしまったことを、全力で後悔するがいい」


 ふざけたことを口走ってから、

 カンツに向かって突撃をかます。


 すさまじい速度だったため、さすがのカンツも反応が遅れた。

 顔面をガツンと殴られて、大量の血を吹き出すカンツ。

 これまで、カンツは、何度かGOOと戦ってきたが、今まで倒してきた連中がゴミに思えるほど、別格の強さだった。


(ぬぅ……こいつは、まずいな……ワシ以外がこいつの相手をしたら、一撃で殺されてしまう……ワシが折れたら、世界は終わる……っ)


 ウムルのことを、『圧倒的に強者である』・『本格的な世界の危機である』と強く認識したカンツは、

 だからこそ、


「がははははははは! たかがその程度で、よくもまあ、大きく吠えられたものよ! グレートオールドワンの最果てなどと吠えるから、とんでもなく強大な力を想像していたが、しかし、全く大したことがない! ハッキリ言ってヌルい! この様子だと、アウターゴッドもたかがしれているかもしれんなぁ! これまで、アウターゴッドが召喚されないよう、色々と手をつくしてきたわけだが、しかし、無駄な労力だったやもしれん! たとえ召喚されたとしても、ワシの前では、ぶざまにあがく害獣でしかない気がする!」



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