54話 がははははははっ!
54話 がははははははっ!
「そんなこといわんと――」
「私たちでは無理だけど……カンツなら、やれる。彼だけは、本当に、いつだって別格だよ。ダンジョン攻略中だって、一番、身を削って戦っていたんだけど……それなのに、今、一番体力が残っているのがカンツなんだ。ほんと、化け物だよ。普通に別枠。一緒にしてほしくない」
そこで、ヒッキの後ろにいるゴーストライトが、
ニっと、快活な笑みを浮かべて、
「知っておくといいよ。特待生には2種類いるんだ。私たちのような、『普通の特待生』と『カンツ』の2種類がね」
と、そこで、
「がははははははははっ!」
と、爆音の笑い声が世界に響き渡る。
率先して『しんがり部隊の特攻』を務めていたため、他のメンツよりも、『ダンジョンからの帰還』が少しだけ遅れた『化け物の中のバケモノ』の登場。
主役は、いつだって、遅れて現れるもの。
「経験値が、大量に湧いているじゃないか! 素晴らしい! 全部、ワシがもらうとしよう!」
そう叫びながら、
カンツは、野獣のように暴れ始めた。
ギラギラの目で、隆起した筋肉をきらめかせ、化け物共を素手で蹂躙していく。
相手は、全員が、上位のグレートオールドワン。
えげつない強さを誇るばけもの。
しかし、カンツの前では、さばかれるのを待つマナイタの鯉。
「がははははははっ!」
カンツは、GOOの頭と首を掴むと、そのまま、ギギギギブチィイっとひきちぎって、ポイっと、テキトーに放り投げる。
『ちぎっては投げ、ちぎっては投げ』という表現があるが、文字通り、カンツは、GOOの頭をちぎっては投げ、ちぎっては投げ……
「がははははは! もろい、もろい!」
ラリったような顔で、異次元の暴力を世界に魅せつけるカンツ。
どちらかといえば、カンツの方が、よっぽど、コズミックホラー。
GOOも、当然、ただ、やられるのを行儀よく待っているわけではない。
必死になって抵抗しているのだが、カンツの前では、どんな抵抗も、まったく意味をなしていない。
暴走機関車となったカンツを止めることは不可能。
暴れるカンツに対して、GOOたちは、呪縛の魔法や、マヒ・毒・眠りの魔法など、高位のデバフをぶちこんでいったりもしているのだが、それらの抵抗を、カンツは、笑い飛ばすばかり。
もう、とにかく、カンツ無双状態が止まらない。
その様を目の当たりにした田中は、
渋い顔で、
「……もう、全部、カンツ一人でええんやないかな……ワシみたいな一般人はもちろんのこと、お前らすらも、ぶっちゃけ、いらんのとちゃう?」
と、そうつぶやくと、
ヒッキが、
「完璧に君の言う通り。『神話生物を対処する』という点において、正直、私たちは必要ない。誰が相手だろうと、カンツ一人いればことたりる」
そこで、ゴーストライトが、
「逆に言うと、カンツが勝てないような化け物が、仮に、もし、存在した場合、人類は終わり。カンツが人類の最終防衛ライン」
と、そこで、アストロギアが近づいてきて、
「カンツでも勝てないような化け物なんて、想像もできないけどねぇ。見てみなよ、あの暴れっぷり。はは、もう、あまりに野獣すぎて、笑えてくるねぇ。全然、スマートじゃないし、美的意識にはかけまくっている……けれど、どうしてかなぁ? 『とてつもなく美しい』と思ってしまうのは」




