50話 ゴミはいらない。
50話 ゴミはいらない。
「俺は使えますよぉ。だから、部下にしてくださいな。後ろにいる30体全員分よりもはるかに使える器だと断言させていただきます。だから、両手両足を回復してください。そして、武器をください。魔力とかオーラもわけていただければ幸い。ハッキリ言いますが、俺を使わないのはバカですよ。あんたはバカじゃないでしょう? むしろ、世界で最も賢いと言っても過言ではない、命の頂点におわす御方。そんな理性的な御方が、使えるコマを、ただ殺すなんてもったいないこと、するわけがないですよね? それとも、あなたは、使えるコマを自ら壊すバカですか? そんなバカなはずがないですよね? ね? ねぇ?」
ニヘラと微笑み、徹底的に下へ下へともぐりこんでいく。
もし、両手があれば、指紋がなくなるほど揉み手をしていたことだろう。
信念を通すためなら、無様の極致に溺れることすら厭わない。
徹底した底意地。
これこそが、センエースが誇る、決してゆるぎない虚勢。
限界までピエロ(ヒーロー)を追及するという、断固たる決意。
「……」
ウムルは、数秒だけ、押し黙った。
センを見つめたまま、何かを考えている。
5秒ほど、黙ってから、
ウムルは、ニっと笑い、
「そうだな……貴様の言う通り、使えそうなコマを殺すだけ、というのも、もったいないことだし……退屈もしていたし……うん……すこしだけ遊んでやるか」
そう言うと、
パチンと指をならして、
「欠損治癒ランク20」
すると、
淡い魔法の輝きが、
――田中シャインピースの体を包み込んだ。
一瞬で、両手両足が元に戻った田中。
そんな田中に、続けて、ウムルは、
自分の魔力を固めた剣を差し出す。
「受け取れ。良質な魂を持つ者よ。貴様の魂には価値がある」
そう言われた田中は、
一度、チラっと、センに視線を流してから、
ウムルに対して、
「……お前に、回復と武器を懇願したんは、ワシやなくて、こっちのへちゃむくれなんやけど」
そう言いながらも、田中は、武器を受け取った。
センだけではなく、田中も、必死になって、現状の切り抜け方を考えていたので、ここで差し出された武器を受け取らないわけにはいかなかった。
ウムルは、ニタリと微笑み、
「そこに転がっている無価値な魂を、貴様の手で殺せ。その覚悟を示すのであれば、貴様を、私の配下にしてやろう。貴様にはその価値がある」
「……どうせやったら、センとワシ、両方を部下にしてみんか? ワシとこいつ、同じぐらい有能やで。こんなこと、あんまり自分で言いたないけど、なんやったら、こいつの方が、可能性で言えば上やで」
「その懇願は、アレか? 心とかいうバグが生み出す、温情や慈愛とやらか? くく。心というものは、本当に意味がわからないな。合理性に欠く。足かせにしかならないクソ以下の概念。そんなものを抱えているから、貴様らは、いつまでたっても高次生命になれないのだ。……こんなこと、本来ならば言うまでもないことだが、ハッキリ言っておくぞ。貴様はともかく、そっちのゴミはいらん」
「……辛辣やなぁ」
そこで、田中はセンを見つめて、
「ゴミはいらんねんてさ……どうする?」
「もっと、必死に交渉しろ! とにかく、まずは、溶けるほどに、ウムルさんの靴をなめるんだよ! そうやって下手にでるところからスタートだ! こんな当たり前のこと言わせんな、カス! ご自慢の『優れた魂』とやらをフルで使って、俺を生きのこらせろ! それすら出来ないお前に何の価値がある! 恥を知れ!」
「ほんまに、こいつ、ゴミやなぁ……反論の余地がない……」




