46話 刮目するがいい。これが、神の王を超えた力だ。
46話 刮目するがいい。これが、神の王を超えた力だ。
「お前の方が正式な一等賞だ。だから、お前が、覚醒して、ウムルを倒すべきなんだぁああ!」
「都合の悪い時だけ、主役の座を押し付けてくんな。ワシよりも、お前の方が主役としての適性が高い。というわけで、覚醒せぇ! 今まで、散々、ピンチで覚醒してきたやろ! 同じことするだけや! 簡単な話やろ!」
などと、醜く、『ナンバーワン(キングボ〇ビー)』の座を譲り合っている謙虚な二人。
そんな二人を尻目に、
ウムルが、
「呑気なガキどもだ……『私たち』を前にして、仲良く遊んでいられるとは」
そのセリフに、センと田中は、それぞれ別の反応をする。
「訂正を要求する! 俺と田中は、断じて仲良しではない!」
「そんなこと言うとる場合か、ボケ! それよりも、ウムルが『私たち』ってほざいたことに着目せぇや!」
そこで、田中は、ウムルの目を睨み、
「まさか、お前、これから、100万体に増殖するか言わんやろうなぁ」
と、懸念を口にすると、
「それほどの絶望をプレゼントできたら、確かに、さぞかし面白そうだが、さすがに、私と同等クラスを100万体も用意するのは無理だな」
ククッと楽しいジョークに微笑んでから、
「――『私ほどの次元に達した化け物100万体の登場』を予想した貴様にとっては期待外れもいいところかもしれないが、まあ、しかし、これが今の私の限界なので我慢してくれ」
パンパンと、両手を鳴らすと、
いまだ、淡く光ったままのジオメトリから、
ぞろぞろ、ぞろぞろと、
ヤバそうな化け物たちが、次から次へと、湧いて出てくる。
「私のサポートに特化した配下、全部で30体……全員が、歴戦のグレートオールドワンだ」
30体のグレートオールドワンは、どれも、面構えが違った。
どいつもこいつも、永き時を生きてきた、辣腕の化け物共。
ちなみに、彼らは、一体一体が、ロイガーを瞬殺することが可能な力を持つ。
それだけのアタッカー性能を持ちながら、専門はサポーターという、とんでもない有能ぶり。
数だけ水増しした大味の烏合衆などでは決してない。
ウムルを筆頭に、とんでもなく優れた化け物集団。
あえて断言するのであれば、時代の荒波にもまれにもまれてきた、生粋のスペシャリストチーム。
そんな彼らを見たセンは、
フっと、ニヒルに微笑んで、
「なーんだ、たかが30体か。焦って損したぜ。こっちは、また、『100万体どころか、今度は、100億体でーす』みたいな『かまし』があるもんだろうと思ってビビっていたんだが……はっ、ウムルと、ウムル以下のザコ30体……たったそれだけか。ふふん」
鼻で笑い飛ばすセン。
その様は、とことん威風堂々。
「さて、と……それじゃあ、いいかげん、夜もふけて眠くなってきたことだし、とっとと終わらせようか。……教えてやるよ。神の王を……超えた力を」
破格の威圧感。
期待せずにはいられない『魂の厚み』を感じた。
そのピリピリとした雰囲気に、
さすがのウムルも、眉間にしわをよせた。
何かが起こる――そんな予感がした。
センは、
「刮目するがいい。これが、神の王を超えた力だ。――というわけで、大いなる田中さん、張り切って、どうぞ」
そう言いながら、田中のために道を開ける。




