表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
741/1228

44話 すべては人類の救済のために。


 44話 すべては人類の救済のために。


 神話生物対策委員会は、カンツから『お前らヤバいぞ』『潰すぞ』と脅しをかけられていたため、これまでは『カンツが卒業するまではおとなしくしていよう』と、あらゆる手を控えていた。


 そこそこバチバチにいがみあっていたカンツと神話生物対策委員会だったが、

 ――『新しい支配者』を得たことで、その関係性も解消され、

 現在は、かなり良質な関係に到っている。


 すべては人類の救済のために。

 『人類を殲滅しようと暗躍する神話生物』を叩き潰すために。


 一致団結して、『救済』へと舵をきった人類の最上位層。

 こうして、『T・300人委員会』は、完全なる『影の世界政府』となったのである。


 ★


 ――実際のところは、『落雷スイッチ』という、ちょっとレアなアイテムを入手しただけの男田中シャインピース。

 彼は、『疑心暗鬼と誇大妄想と希望的観測・推測』から、とんでもない虚像を背負うことになった。

 が、しかし、そのことに対し、田中は、


『知らん、知らん』


 という結論を出し、以降は、完全放置を決め込んだ。


 その結果、

 『弁解も否定もされないということは、噂は真実なのだろう』

 『いや、噂は、まだまだ甘くて、実はもっと凄い存在なのかも』

 と、田中の虚像は、際限なく膨らみ続ける。


 ちなみに、現在の、『支配者T』に対する、

 『300人委員会の見識(無限の尾ひれがカスタマイズされたウワサ)』は、


 『遥か彼方かなた、別の銀河から、地球を救うためにやってきた、叡智の結晶。この世の全てを見通す目を持つ超知性概念。時間の秘密を解き明かし、コスモゾーンのパーフェクトアンサー(トゥルーエンド)に届いた者。あらゆる次元を超越し、空間との完全調和を果たした、知的生命の最終進化形態』


 という、

 ちょっと何言っているかわからない領域にまで至っている。



 ★



 イカズチの剣をその身で受け止めたロイガー。

 真っ黒な炭になってしまった彼を横目に、

 センピースは、



「……火力、エグいな……異常な生命力を持つGOOを一撃で消し炭にするとは……」



 と、ボソリとつぶやいた直後のこと。

 センピースの肉体が、カっと光って、

 元の二人に分離してしまう。


 合体時間の終了。

 実にちょうどいいタイミング。


 合体前の素の状態に戻ったセンは、


(ん……なんか、とんでもなく力が抜けた感じがする……合体解除後ってこんな感じだったかな……)


 などと、自分の状態を疑問に思いつつも、

 そこで、一度、田中をチラ見してから、


「俺と合体したとか、絶対に誰にも言うなよ。『田中と合体した』なんて後ろ指をさされるぐらいなら、まだ、『クソを漏らした』って噂を流される方がマシだ」


「ほんまに、お前、ワシの嫌い方がエグいな」


 などと、クソどうでもいい会話をしていた、

 その時だった。


 ロイガーの消し炭が、サァアっと溶けだして、

 地面に、ジオメトリを描き始めた。


 それを見たセンは、心底渋い顔で、


「うそぉん……」


 と、ほんとうに、心からダルそうな顔で、そうつぶやいている彼の横で、

 田中が、


「ちょっと待ってや……ぇ、マジで……うそやろ……まだ、おかわりくる感じ? もうええて……」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ