7話 裏の人間とは関わりたくないですねぇ。
7話 裏の人間とは関わりたくないですねぇ。
「あなたたち……もしかして、フェイトファミリー?」
「俺はカルマ家の秘密兵器、センエース。こっちは、デステニィ家の天才美少女、カティ。二人合わせて、新人冒険者チーム『ガットネロ』。今後とも、末永くよろしくです、ちーっす」
「……裏の人間がどうして表に?」
「まあ、いろいろありましてね」
「裏のごたごたには巻き込まれたくないのだけれど?」
「ご心配なく。ごたごたしているわけではなく、フェイトファミリーを円満退社した上での再就職ですので」
「……レミングウェイ・カティ・デステニィの名前は聞いたことがあるけれど……あなたの名前は聞いたことがないわね……センエース・カルマ……カルマ家はもちろん知っているけれど」
「ま、なんせ、秘密兵器の秘蔵っ子なもんで。ていうか、そもそも、暗部の人間が有名ってのも、どうなんだって話ですしねぇ」
「……」
受付嬢は、一度、渋い顔をしてから、
「最後にこれだけは聞いておくわ。あなたが頭に載せているスライムは……とうぜん、テイムしているのよね?」
「もちろん。ちなみに、こいつは、すごいですよぉ。なんせ、存在値が89億ありますからね」
「……」
「どうしました? アホを見るような顔をしておられますが?」
「言っておくけれど、スライムしか使役できないような低レベルテイマーだと、冒険者は厳しいわよ。最低でも、鬼か悪魔を従えないと」
「ご心配なく。俺は強いっすよぉ。全人類が束になってかかってきても、秒でワンパンでしょうね。なんせ、神獣カースソルジャーとかも召喚できますから。俺、ハンパないっすよ、実際」
「……カースソルジャー? 聞いたことがないのだけれど? 何種の、どのランク?」
「種族は、わかんないっすけど、とりあえず、神獣です」
「神級だと言いたいの?」
「ああ、いえ、カースソルジャーは、神級や大神級より上ですよ。上っていうか、別枠? ちなみに、このスライムも、一応、神獣です。エンシェントゴッドスライムってやつですね。ハンパないっすよ」
「……」
ちなみに、モンスターのランクは、下から、
『最々下級』
『下級』
『中級』
『上級』
『最上級』
『王級』
『超王級』
『神級』
『大神級』
となっており、
『上級』より上は、『そうとうな力をもった冒険者』でなければ、歯がたたなくなってくる。
超王級とか神級になると、もはや、国の中枢が動き出すレベルの大災害。
――『そんな大災害』よりも『上位の召喚獣』を『テイムして頭に載せている』という、ありえない情報を聞かされた受付嬢は、
「……」
いったん、ダルそうな顔をみせた。
子供の冗談に付き合っているヒマはないと言いたげな顔。
その表情のまま、
センをシカトして、カティに視線を向け、
「いくら、暗部で名の通った人間でも、表では最底辺の『1つ星』から。それは理解しているかしら?」
そう問いかけた。
カティが答える前に、センが、
「OK、OK。で、さっそくなんすけど、『1つ星が受けられる依頼』の中で、一番上のやつをお願いしてよろしい? 俺達は、ササっと、『10つ星』になりたい感じのアレなんすよ。というわけで、よろしく、お姉さん」
「……はぁ」
そこで、受付嬢は、心底鬱陶しそうに溜息をついてから、
それまでの『適性声量』を大幅に超えて、
「腰ぎんちゃくの分際で、偉そうにするんじゃないよ! 私は、そういう、ふざけたガキが一番嫌いなんだ! 命がけの仕事である冒険者をナメるな!」




