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35話 300人委員会という実験。


 35話 300人委員会という実験。


 ――300人委員会が実在するのか否か、それを正しく知る者は少なかったが、とにかく、ウワサだけは昔からあって、そして『その噂の認知度』は、それなりに高かった。


 そんな現状を面白いと思った田中は、300人委員会という幻影を、『本当に存在するもの』として形にしてみたいと考えた。



 ――田中は、ちょっと前に、一度、紙野ボーレに誘われて、学校の謎探しをしたことがある。

 その時、発見した。

 一日に一発だけ、宇宙のどこかにある巨大な衛星から、落雷型のレーザーを放てるスイッチ。


 そのオーパーツを巧みに使うことで、田中は、300人委員会という概念を、『本当に存在する組織』として成立させた。


 田中は、最初、『汚職をしているというウワサの大物政治家C』に狙いをつけた。

 たまたま、『紙野ボーレの親』が『後援会の一人』だったため、住所を特定するのが難しくなかった。


 『私は300人委員会の代表であるT。お前の愚行は目に余る。あらためなければ、宇宙意志の天罰が下る』


 と手紙で脅しをつけた上で、その政治家Cの庭に植えてある木に落雷を落とす。

 それが、最初の一手だった。


 デスノ〇ト的な、むちゃくちゃなことをするつもりはなかったし、

 世界をひっくり返そうと思っていたわけでもない。

 だから、ちょっとしたお遊びレベルのことから始めた。


 しょせんは遊び。

 なんか、おもろいオーパーツを見つけたことだし、

 できるのなら、ちょっと、世直ししてみようか、

 ――ぐらいの、本当に軽い気持ち。


 『私の命令通りに動くのであれば、300人委員会の末席に加えよう。背くのであれば、次は、貴様の頭上に神のイカズチを落とす。庭に墜ちたカミナリを、単なる偶発的な自然現象に過ぎない、とタカをくくるのも結構。しかし、その場合、間違いのない絶命という、最大級の痛い目をみることだろう』


 その後は、田中が大きく動く必要はなかった。

 その政治家Cが勝手に動いてくれたから。

 政治家Cは、むしろ、喜んで、300人委員会の末席に加わった。


 『よろしい。貴様を、300人委員会の末席に迎え入れよう。英断である。貴様のスペック自体は悪くないのだから、まともに働けば、正しい功績を残せるだろう。私のアドレスを記しておく。何かあったら連絡をいれろ。言うまでもないが、私の素性を調べようとはするな。もし、私に反旗を翻そうとしたその時は、貴様の頭上に落雷を落とす。私の力を甘く見ない方がいい』


 性根はキッチリと腐っているものの、普通に勉強家だった政治家Cは、当然、300人委員会という『陰謀論』ぐらいは知っていた。


 『そんなもの存在しない』と思っていたが、しかし、実際に、カミナリを落とされたことで、少なくとも、この手紙の送り主が、ただのイタズラ野郎ではないと理解した。

 いくつかの手がかりから、Tの正体を探ることはできそうだったが、『手がかり』が『毒のエサ』である可能性を考慮し、『触らぬ神にたたりなし』の構えで、とことん慎重にTと接することにした政治家C。



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