表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/1228

6話 兄さん、あとはよろしく。


 6話 兄さん、あとはよろしく。


「兄さん、二つに一つだ。俺を敵にまわすか、それとも、味方にしておくか。――俺に『貸し』をつくれるのはデカいよぉ」


 声音だけはおだやかだが、

 その瞳に刻まれた魂の色は、鋼のような狂気だった。


(ほ、本能が警告している……こいつはヤバい……っ……こいつは、レベル1じゃない。ゴミの皮をかぶった、とんでもない化け物……っ!!)


 心の理解に、体が反応する。

 反射的に、へっぴり腰になり、

 体を震わせながら、


「……わ、わかった……要求をのむ……だ、だから、その目で、ぼくを見るな……やめろ……たのむから」


「はいよ、兄さん」


 そこで、センは、眼力に込めた色を薄めて、

 ニコリと微笑み、


「ん? どうしたのかな、兄さん。すごい脂汗だけど。なにかいいことでもあったのかい?」


 と、紳士的に煽っていくセン。


「……お前は…………き、君は……いったい、どうなっているんだ? ……いったい、何をしたら、そんな……奇妙なことになる?」


「普通の人より、ちょっとだけ頑張ったんだよ。そんだけ」


「……」


「兄さん、カティ姉さんの件、ほんと、よろしくね。もし、上層部の説得に失敗したら、俺があんたを殺すよ。というか……フェイトファミリーをぶっ潰すよ」


「……っ」


「俺は、俺を全力で殺そうとした両親が嫌いなだけで、フェイトファミリー自体には、そこまで嫌悪感をもっていない。ゴミ扱いはされていたけど……ま、実際、俺はレベル1のゴミだしね」


 センは『自分の状況』と、『ファミリーの事情』を切り離してモノを考えている。

 この辺の『視点』みたいなものは、暗部の人間として生まれ、暗部の人間として生きてきたがゆえに育まれてきたシード。


「だから、余計なことをしないのであれば、これまでの俺に対する非礼・無礼・失礼の数々は見逃しておいてあげるよ。ただ、今後、一度でも、俺に対してナメくさったマネをしてくれた場合、全力で叩き潰すから、そのつもりで」


「……」


「じゃあ、兄さん、マジでよろしくね」


 そう言ってから、センは、シャブルンに背を向けると、

 カティに向けて、


「じゃあ、行こうか、カティ姉さん。まずは、冒険者組合にいって、正式に登録しよう。で、さっそく、依頼をこなして、ちゃちゃっと階級をあげちゃおう。姉さんは、今日から、『史上最高の英雄』として名をはせる。そして、俺は、そんな姉さんのサポート役として、おこぼれを頂戴するんだ。んー、最高だねっ」






 ★






 ――ここは冒険者ギルド。

 殺伐としている裏ギルドと違って、

 雰囲気は華やかで、受付嬢も美人さん。


 サクっと登録を済ませた二人に、

 受付の美人さんが、いぶかしげな目で、

 ソっと、小声で、


「あなたたち……もしかして、フェイトファミリー?」


 その問いかけに、センも、小声で、


「俺はカルマ家の秘密兵器、センエース。こっちは、デステニィ家の天才美少女、カティ。二人合わせて、新人冒険者チーム『ガットネロ』。今後とも、末永くよろしくです、ちーっす」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ゴミの皮をかぶった、とんでもない化け物、 この表現が全て! レベル1からの大逆転劇、 ここからが本番ですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ