表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
729/1228

32話 ワナが大量に設置されたイバラの道。


 32話 ワナが大量に設置されたイバラの道。


 今の田中にとって、ロイガーなど、100万回戦ったティガレ〇クスみたいなもの。

 一撃を受ければ、もちろん死んでしまうが、しかし、もはや、攻撃を受けることはありえない。こうなってしまえば、負ける方が難しいレベル。


「よけるなぁああああ!!」


 イライラがさらに加速していく。そうなってくると、よけいに、動きが単調になってくる。


 ここから先は作業だった。

 のんびりと避けて、ゆったりとカウンターを入れる。

 それを繰り返すだけでも、おそらく勝てる。

 だが、センも田中も、それを良しとしない人種だった。

 もっと先へ、もっと前へ。

 プルスウルトラが止まらない。


 田中は、より深く、パターンの解析に勤しむ。

 自分の中に注ぎ込まれたセンエースの夢知識を血肉に変えようと必死。

 センは、いつも通り、単純な繰り返しの中で『凡夫の一手』を研ぎ澄ましていく。


 どちらも、現状、『本質の部分』を失っている。

 叡智に、戦闘力。

 圧倒的な質量を誇っていた『支柱』を失いながら、

 しかし、それでも、両者は前へ進む。


 ――『それが出来る者』にしか、トゥルーエンドへの道は開かない。

 才能に頼るだけの者や、

 挫折を経験したことがない者の前に、

 この道は開かない。


 おそろしく険しい道。

 『レールが敷かれていない』のはもちろんのこと、舗装すらされていない。

 ジャングルとか、山奥とか、そんなレベルですらない。

 ワナが大量に設置されたイバラの道。

 ある意味で、レールは敷かれている。

 もっとも苦しくなるように丁寧ないやがらせが施された地獄のレール。


 そんな道の上を迷わずダッシュしていく両者。



「一閃」



「ぬぅぉぁああああっ!」


 ギリギリのところで、センピースの一閃を回避するロイガー。

 冷や汗があふれ、奥歯がきしむ。

 自分自身の『焦り』に対し、ロイガーは、さらなる怒りを感じる。


「なんでだぁああ……なんだ、この状況……こんな、どうしようもない虫けらに……なぜ……」


 疑問を浮かべることしか出来ない。

 ただ、疑問を口にするだけ。

 不満をもらすだけ。

 『その先の答え』に辿り着こうとしているわけではない。

 だから、ただ、闇雲に、怒りを叫ぶことしかできない。


 ロイガーほどの『肉体的資質』があれば、センピースを対処するなど、本当は楽勝。

 ロイガーが、あと、ほんの少し優秀であれば、問題なくセンピースを殺すことが出来た。


「ぐぅう、ぐぅう、がぁああああああっ!」


 叫んだ直後、グンと、出力が増す。

 深い怒りで、オーラと魔力のリミッターを少しだけ外すことには成功した。

 そのぐらいは、ザコでも出来る。


 ただ、その程度の出力上昇では、

 研ぎ澄まされてきたセンピースの相手にはなりえない。


 センピースは、次第に、合体によるデメリットとも対話しはじめていた。

 自分自身の何が弱体化されていて、どこを補えば、合体している今の『自分』を支えることができるのか。

 必死になって考えて、修正して、調整して、

 センピースという概念を成立させようと努力している。

 感情の阻害があるので、完全調和することは出来ないが、

 しかし、そこが無理だからといって、何もかもが全部ダメになるわけじゃない。

 それを証明しようと必死。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ