25話 貴様と合体など二度とごめんだ!
25話 貴様と合体など二度とごめんだ!
と、一度、魂の叫びを奏でてから、
センは、『アマルガメーション』の魔カードをポケットから取り出すと、
それを、田中に投げ渡す。
受け取った田中は、
「これは……合体ができるようになる魔法か……」
などとつぶやいている田中に、
センは、すっとぼけた顔で、
「そんなクソみたいなものを、後生大事そうに、その薄汚れた懐から取り出して、いったい何をどうしようって? まさか、この俺様と合体しようなんて言うんじゃないだろうな! ふざけるな! 貴様と合体など二度とごめんだと言ったはずだ!」
「……もう、どうしたいねん……コレをとりだしたんお前やし、お前と合体したことなんか一度もないし……まあ、夢の中であるんかもしれんけど……」
と、常識的な文句を口にする田中に、
センは止まらず、
「そこまで言うなら、仕方ないから、合体してやるがなぁ! 俺は、本当にイヤなんだ! 貴様のようなカスと合体したところで、たかがしれているしなぁ! けど、このまま、ロイガーを放置したら、世界の危険がデンジャーで危ないかもしれない! だから、仕方なく、世界のために! 人類のために! 仕方なく、合体してやる! ほんの少しでも、勝率をあげるために! ほんのちょっとでも出力を上げるために! 出来ることは全部やってやる! なんという破格の健気さ! まさに、病的な高潔! さあ、俺の尊さを崇めろ! 喝采しろ! 賛美しろ!」
「……はいはい、偉い、偉い」
ため息交じりにそう言いつつ、
田中は、アマルガメーションの魔カードをやぶりながら、
「アマルガメーション」
と、呪文を唱える。
すると、
センと田中の体が一つに合わさって、
一度、カっと、強い光を放った。
そして、その光が、ゆるやかに晴れた時、
そこには、一人の戦士が立っていた。
「よっしゃぁあ!」
と、歓喜の叫び声を上げてから、
「センエースと田中シャインピースが合体して、センピースってとこかな。さらに!」
そこで、センピースは、田中が回収していた魔カードの一枚を使う。
使用したのは、武装闘気の魔カード。
オーラの鎧を身に纏ったセンピースは、
「こいつが、スーパーセンピース!」
様式美を一通りすましたセンピース。
ちなみに、これだけ時間を使っていながら、しかし、まだ、ロイガーは、上空からの圧力に拘束されたままだった。
その事実一つとっても、天螺の魔法が、どれだけ高次元の魔法だったかが分かる。
センが時間を稼いでいる間に、田中は、大量のアイテムを回収したわけだが、その中でも、『天螺の魔カード』は、ひときわレアな、大当たりの逸品。
「いくぞ、ロイガァアア! この世もあの世もふくめ、三本の指に入る超人同士の合体によってのみ発動する、超絶的な可能性に震えて眠れぇええ!」
そう叫びながら、
センピースは、ロイガーにダイレクトアタック。
「おらおらおらぁ! 閃拳! 閃拳、閃拳!」
と、何度か殴ってみて気づいたことは、
腕が痛むだけだった、ということ。
「くそがぁ! しかたねぇ! とっておきを見せてやる!」




