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24話 天螺(あまら)。


 24話 天螺あまら


「……ふぅ、ふぅ、ふぅ……」


 自身の中心の回復に集中するロイガー。

 粉々に砕かれていたならば再生はさすがに難しいが、真っ二つにされただけなら、どうにか元に戻すことは可能。

 必死に、集中して、回復魔法を使い尽くすことで、どうにか、中心を元に戻したロイガーは、怒りにまみれた顔で、センをにらみつけて、


「脆弱な虫けら風情が……私の中心に傷を入れるとは……驚いた。本当に驚いたぞ」


 ピクピクと、表情筋を痙攣させながら、

 倒れているセンに近づき、


「不愉快だよ、虫ケラ。貴様と遊んでいると……ずっと、イライラさせられる……もう、貴様の相手はしない」


 そう言いながら、右手にオーラを込めて、


「私は、普段、虫ケラと遊ぶときは、徹底的に弄ぶんだが……貴様には、その価値がない……貴様は、遊び相手として不適格だ。あまりにも、気持ち悪すぎる」


「光栄な評価だ……花丸満点ってことだよな?」


 ファントムトークがとまらない。

 死を前にしても、胆力は衰えることを知らない。


「死ね、クソガキ」


 最後にそう吐き捨てて、

 ロイガーは、簡単な攻撃魔法で、センをプチっと殺そうとした。


 ――ちょうど、そのタイミングで、




「――天螺あまらぁああああああああああっ!!」




 声が響き渡った。

 そう思ったと同時、

 ロイガーの体が、地面に、

 ズンッッ!!

 と、押し付けられる。

 まるで『見えない巨大な手』で、頭上から地面に押し込まれているように、

 体が動かなくなるロイガー。


「ががっ……こ、これは……圧縮の魔法……それも……アウターゴッドの領域……バカな……っ」


 動けずにいるロイガーの横を駆け抜けていく一人の青年。

 その青年――田中シャインピースは、

 ロイガーの動きを封じただけではなく、

 センのもとまで駆け寄り、


「治癒ランク20」


 魔カードを破り捨てながら、呪文を唱える。

 風穴の開いていた腹部は、見事に元に戻った。

 敵の動きを封じ、味方を回復させる。

 完璧な仕事を果たした田中。


 そんな田中に対して、我らのセンさんは、


「ちっ」


 と、苦虫をかみつぶしたような顔で、一度、舌打ちしてから、


「頑張ったのは俺なのに、なに、おいしい所だけ取ろうとしてんだ。お前、ほんと、最低だな。人間じゃない! 鬼の子! 悪魔! 拷問好きのサディスト! お前、おそらくだけど、この学校にあるほぼすべてのアイテムを回収しているだろう! だから、俺が探してもなかなか見つからなかったんだろ! そうだろ! てめぇのせいで、こっちは大変だったんだ! 償え! 魂の消失でもって、その咎を償え!」


 と、止まらない毒を吐くセンに、

 彼――田中シャインピースは、


「助けてもらったら、まず、『ありがとうございます』やろうが。おどれ、親から、どんな教育受けてきてん」


「田中の嫌がることをやりなさい」


「すごい親やな。ワシ、一族総出で嫌われてるやん」


「最初に正式な苦言を呈しておく。田中、お前、助けにくるタイミングがいつも、ワンテンポ遅い。五分前行動は社会の常識だろ。認識を改めないと、一般社会では通じないぞ。ちょっと賢いと思って調子にのっているやつが、一般民衆の御方々は大嫌いなんだ。つまり、お前は世間の嫌われ者だ。わかるな。わかったら、這いつくばって、靴をなめろ」


「……言うとくけど、さっき使った天螺の魔法は、相手を拘束するだけで、倒せる魔法ちゃうから、もうしばらくしたら、あいつ、復活するで。いつまでも、ボケとって大丈夫か?」


「ボケてんじゃねぇ! 全部、ガチだ! 俺はお前の全てが気に入らねぇ!」



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