10話 チン〇スみたいなプランだな。
10話 チン〇スみたいなプランだな。
「さぁて、どうしようか……困り果てたな……田中、プランをくれ。お前が横にいると、つい安心して、思考放棄してしまう。その責任をとれ。全部、お前が悪いんだから、お前がなんとかしろ。俺は悪くない。俺は何も悪くない」
続けて、田中も、チェンソーを投げ捨てて、
「……イカれたことばっかり言いくさりやがって、ほんまに……」
と、一度、呆れてから、
「……一人が、あの化け物を引き付けとる間に、もう一人が、学校の中を探索して、なんか逆転のアイテムを見つけてくる……それぐらいしか思いつかん」
「はっ。チン〇スみたいなプランだな。田中の名が泣くぞ。そんなんだから、お前はアレなんだ。何がどうとは言えんけど」
「ほな、おどれが、もっとええプランを出せや、ごらぁ」
「そうだな……じゃあ、フラッシュアイディアなんだが、こういうのはどうだ? 俺がロイガーを引き付けている間に、お前が、校舎を探索して、何か、一発逆転のアイテムを探してくる」
「……」
「どうやら、俺の鬼策がハンパなさすぎて、ぐうの音も出ないようだな」
「……うん、もちろん、そうやで。うん」
「なんだ、そのツラは。言いたいことがあるなら聞こうじゃないか」
「いや、やめとく。たぶん、これ以上、会議を続けたら、ロイガーより先にワシがお前を殺してまうから」
つつがなく、極めてスムーズに結論がまとまったところで、
センがバキバキっと体の関節を鳴らし、
「さぁて……ほな、『夢の中で、神の王にまで上り詰めた男の根性』を、魅せつけてやろうか」
そう言いながら、センは、ロイガーの元へと歩いていく。
「田中との会議中、黙って待ってくれていたこと、感謝するぜ。お前、なかなか、道理が分かっているじゃねぇか。『ニチアサ適正あり』の判定をくれてやろう」
「もう少し、待ってやってもよかったんだぞ。どうせ、何をしたところで無駄なのだから」
「気前がいいねぇ。じゃあ、ちょっと俺の武に付き合ってくれや」
トントンと、片足ジャンプで重心のバランスを整えて、
「そうだな……五分間、俺の猛攻に耐えることが出来たら、褒めてやるよ。この俺に褒めてもらえるなんて、そうそうないぞ。その権利を放棄するのは、ちょっとどうかなぁ、と俺なんかは思うわけだが、そのへん、いかがか?」
「くくく……まあ、別にかまわんよ。好きにあがけ。そして、何をどうしようと、絶対に超えられない壁に狂え」
「……助かるぅ。慎重派の賢者じゃなく、ナメプ癖のある馬鹿で、ほんとありがたい」
と、最後に、トドメの煽りをいれた上で、
センは、握りしめた拳を、ロイガーの胸部へと叩き込む。
思いっきり集中して殴ってみたのだが、
しかし、
「いったぁ……」
鉄を殴ったみたいに、ビクともしないし、
こっちの腕がビリビリと痺れるばかり。
腕の痛みにもだえているセンに、ロイガーは、
「どうした? もしかして、もう休憩か? 必死にあがくのであれば、それを見てやらんこともないが、しかし、ただ休むだけなら、殺すぞ? さて、どうする?」




